短編小説A

□夢幻
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遼平は驚き目を見開いている。目の前で起こった事が信じられない。

信じたくなかった。遥が事故にあってそのまま・・・なんて・・・。

「遥?ウソだろ?」

遼平は遥の顔を恐る恐る触る。

「寝てるだけだよな?そのうち、いつもの様に目を覚ましてくれるだろう?」

顔をなでつつ言う。

だが、それに答えてくれる人はいない。

「そうだよな、遥。こんなに温かいもんな・・・。」

返事はない。返事を待っている相手は深い深い眠りの中にいた。

遼平の目から涙が一粒零れ落ちる。

「遥、お願いだから目をあけてくれ。頼む。」

遼平は眠り続ける遥に泣き縋った。



『夢幻(むげん)』



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