短編小説A
□復讐という名のワナ
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はあ、はあ、はあ。
どうしよう!? 今、見つかる訳には行かないの!
辺りを見回し隠れる場所を探す。
「おい、いたか?」
隠れた場所に近いところから声が聞こえる。
どっくん、どっくん。
誰かに聞こえてしまうのではないかと思うほど、動悸が激しくなる。
嫌よ。ここで見つかるわけにはいかないの。
お願いだから見つけないで。
桜は追ってきた男達に見つからない事を祈りつつ息を殺す。
「……いや、ここにはいないみたいだ」
「こっちもいなかったぞ」
「くそっ!! 何処に行った?」
いきり立つ男達。
「落ち着け!」
と、桜の一番近くにいた男が言った。どうやら、リーダーのようだ。
「っ。すいません」
「焦っても見つからんだろうが! 向こうに行ったのかもしれん」
「はい」
バタバタバタ。
男達は去っていき静かになった。
ふ〜。良かった。見つからなかった。
目的の場所まであと少し。時間がかかったけど、やっと、たどり着くことができる! もう少しで……。
そう思いつつ、桜は目的地へと向かう。
その姿を見ていた者がいるとは知らずに……。