短編小説A

□復讐という名のワナ
2ページ/7ページ


 はあ、はあ、はあ。

 どうしよう!? 今、見つかる訳には行かないの!

 辺りを見回し隠れる場所を探す。


「おい、いたか?」

 隠れた場所に近いところから声が聞こえる。


 どっくん、どっくん。

 誰かに聞こえてしまうのではないかと思うほど、動悸が激しくなる。

 嫌よ。ここで見つかるわけにはいかないの。
 お願いだから見つけないで。

 桜は追ってきた男達に見つからない事を祈りつつ息を殺す。

「……いや、ここにはいないみたいだ」
「こっちもいなかったぞ」
「くそっ!! 何処に行った?」

 いきり立つ男達。

「落ち着け!」

 と、桜の一番近くにいた男が言った。どうやら、リーダーのようだ。

「っ。すいません」
「焦っても見つからんだろうが! 向こうに行ったのかもしれん」
「はい」

 バタバタバタ。

 男達は去っていき静かになった。

 ふ〜。良かった。見つからなかった。
 目的の場所まであと少し。時間がかかったけど、やっと、たどり着くことができる! もう少しで……。

 そう思いつつ、桜は目的地へと向かう。
 その姿を見ていた者がいるとは知らずに……。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ