main
□064 欲しがり
1ページ/2ページ
馴染みの顔に挨拶して雨乾堂へ戻ってくると、浮竹さんが立っていた。
俺の顔を見ると軽く片手をあげてにっこり笑う。
「良かった。今一護を探しに行こうかと思ってたところなんだ」
オヤジ、なんていう言葉のどこかしおれたイメージとはかけはなれた爽やかな笑顔だ。
「そっか、行き違いになんなくて良かった」
探しに来てもらえるのは正直嬉しいけど、時間もったいないし、とか言いながら、勝手知ったる部屋の座布団を引いて茉莉茶をいれた。
「なあ、またあの話してよ」
「どれかな」
「えっと、はじめて卍解した時のやつ!」
「いいよ。俺と京楽はどちらが先に到達するか競争していてね…」
同じ話をねだっても、少しもはしょらずゆったり話してくれる浮竹さん。
こういうとこも好きなんだよな、なんて思いながら俺はすっかり満足していた。