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□飽和状態
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好きだとか嫌いだとか
愛とか恋とか
「なんつーか、いまいち…」
ピンと来ない。
そもそも自分に恋愛なんて似合わないし、興味すらなかったのだ。
あの男に出会うまでは。
綺麗だと思う。
例えば切長の目とか、それがかすかに細められた貴重な笑顔だとか。
落ち着かなくなるけど嫌じゃない。
できれば無表情なくせにわかりやすい喜怒哀楽をずっと見ていたい、とも思う。
だけどさ、これが恋とか愛ってやつなのか。
やっぱりよく分からない。
愛ってなんなんだ?
ずっと机に向いていた秀麗な顔が此方を向いた。
「…兄がそのようなことを言うとは、何か悪いものでも口にしたか」
「なんだそりゃ。ってか、俺声に出てた!?」
わずかにうなずく白哉。
「私に尋ねたわけではないのだな」
「いや…まあ、教えてくれんなら聞きたい、かも」
モテるだろうに、白哉も恋愛ごとへはあんまり興味がなさそうだ。
彼はストイックで潔癖なところがあるから。
そんな自制心の塊のような男が語る愛に、好奇心がわいたのは仕方のないことだと思う。
…すぐ後悔するはめになったとしても。
無言で近づいてくる無表情な、どこか楽しげな男。
思わず顔がひきつった。
「び、白哉?」
「………」
何も言われないと正直怖い。
何を考えているのか分からない。
俺が脅えているのに気が付いたのか、白哉は苦笑して気配を緩めた。
「拒否したくばしろ」
相も変わらず偉そうな言い方。
だけど何故か「嫌なら逃げて良い」と、暗に告げられた気がして。
伸びてくる腕を、俺は拒まなかった。