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□Time waits for no one
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「待ってる」と少年は言った
「すぐ行く」と少女は言った
「待ってて」と言わなかったのは、少年の優しさだったのだろう
言葉を交わすのはこれが最後だと、何処かで二人ともわかってた
あの日交わした約束を叶わないと知りながら
それでも口にしたのは
それが「願い」だったから
(会いたい)
夕暮れに伸びる影。
真琴は一人で通い慣れた河原を歩いていた。
あの夏が過ぎて、高校生の時よりも長い夏休みが来た。
大学生になった真琴は学芸員の資格をとるつもりで、史学部に進み、
功介はもちろん第一志望の医学部にストレートで合格。
ますます勉強が忙しいみたいで、野球どころかキャッチボールもしなくなってしまった。
(千昭はどうしてるかな)
なまぬるい風が吹いてきて、不思議な時間をそっと思う。
夢見ることも日常のかけがえのなさも、恋の切なさも。
全部教えてくれた人がいた。
「あー会いたいなぁ」
側にいたかった。
ずっとずっと。
一緒にいたかったんだけど。
少年には帰る場所があった。
忘れることが何よりも怖くて仕方ないのに。
彼の瞳の色も声も、繰り返す日々の中に埋もれていきそうになる。
それに気付いてから、千昭の笑顔も温もりも呆れるくらい思い返した。
(意地でも忘れてやらないんだから!)
今もまだ痛む胸を抱えて。
この胸の痛みもあなたがいた証だから一生このままがいい。
「真琴」って呼ぶ声も「俺と付き合えば?」って緊張でこわばった声も、まだ鮮やかに蘇る。
(良かった。まだちゃんと思い出せる)
何度も何度も思い返す宝物。
「真琴」
そうだった。千明ったら「真琴」ってゆう漢字も最初は知らなくて。
功介と二人で漢字を教えたんだよね。
「真琴!」
怒るとすごみがあるんだけど、真琴に本気で怒ったことは一度もなかった。
「まーこーと!無視すんなよこら!」
「って、え???」
振り返ったら、つい今まで考えていた人。
「ちあ…きいいいいいっ!?」
夢にまで見た再会が間抜けな叫び声になってしまった。
しかたないと思う。