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□078 そう言うくせに
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その日の天気を覚えていない。
おぼろげな場所は教室で、オレンジ色が妙に網膜に焼き付いているからきっと放課後だった。
あんな風に野球にも行かず何もしないまま二人きりで話していたのは珍しい。
もしかしたらあの日だけだったかも知れない。
二人で功介を待っていたのか、偶然だったのかも憶えてはいない。
ごくありふれた、いつもとなにも変わらない、
俺が真琴を好きだと気付いた日。
「えー幽霊は絶対にいるって」
「いるわけねぇだろバカ」
真剣な様子がおかしくて、すぐ変わる表情が面白かった。
「笑わないでよ!千昭は夢がないっ」
幽霊って時点でロマンチックだとも夢があるとも思えない。
興味もない。
相手が真琴でなければ話にノリもしないだろう話題。
いつも話のネタなんてくだらないことばかりで、それでも馬鹿みたいに楽しかった。
放課後の密やかな時間は二人の距離を少し縮める。
近づいてはじめて気付いた相手の髪の香りが、普段感じさせない甘さを連れてきて落ち着かなくさせた。