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□065 欲ばり
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「だってさ、好きなんでしょ。一護ちゃんのこと」
京楽は、酒の名前でも言うように、さらっと発音した。
好き、か。可愛らしい言葉だ。
話があると言うから、どうせそんなことだろうと思った。
「悪いが、そんな話なら聞く気はないな」
苦笑して追い返すと、振り向いた京楽は珍しく俺の顔をきびしく見据えた。
「浮竹」
そして、一言できっぱりと印籠をつきつける。
「ちゃんと捕まえておかなければ取られるよ」
反論する間も与えず姿はかき消えた。やれやれ、だ。
無駄に年を重ねただけあって、恋愛が一か百かで計れないものだと知っているし、相手の全てを手に入れようとする愚かさをどうかと思うだけの理性は持ちあわせている。
「謂われずともわかっているさ」
好きだ、なんてとうに越えている。
この体も心も目も声も全ては彼のものだ。
恐ろしいのは、いつか理性を超えてしまったら、何をしてしまうかわからない、己という男。
「一護…お前が思うよりずっと俺は欲張りだよ」
つぶやきは風に舞い、誰にも届くことなく消えた。
→64 欲しがり