TEXT2

□青い月
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What's in a name?

That which we call a rose

By any other word would smell as sweet...












青白く弱弱しい月がぽかりと夜空に浮かんでいた。

いつかの夜、時計台の上にあったのと同じものとは思えない。

(それでも、やっぱり魔の力を感じる)

あれから、あの謎の少年には一度もあっていない。
いつだってまた俺の部屋に現れる気がして、まだ月は俺たちを見張っている様な気がする。

この夜空を描くために、いつか筆をとってみたい。
優しくて少し強引で、何よりも純粋な力だったあの月を。
もっと想い出が優しくなった頃に。

「なに考えてるの?」

俺の隣に並んだ二見が、僅かに首を傾けた。

俺たちは二人でベランダに並んで何をするわけで空を見上げていた。
夜風が頬を優しくなぶって気持ちがいい。

微かにあたる二見の肩が熱い体温を伝えてきて、いつの間にかゼロになっていた二人の距離を意識する。

(一人は嫌だ。だけどすぐ近くに他人がいるのも落ち着かなかった)

それなのに今はすぐ触れられる距離にこいつがいないと調子が狂う。

そっと隣の横顔を見て、暗闇の中でも淡く光を弾く薄い髪は、そういえば金色の月と同じ色だと思った。
太陽よりも冷たい色。

「…昔のこととか、かな」

「そう」

二見は目を細めてそれだけ言った。
言わなくてもきっとこいつの目にも映っているのだろう。
こんな頼りない月じゃなくて、恐ろしいほど大きかったあの月が。
前ぶれもなにもなく二見が言った。

「俺、ずっとアナタのこと好きだよ」

月を見てたら言いたくなっちゃった、と二見は目を三日月形にしてにっこりと微笑んだ。
その気持ちは俺には痛いほど分かってしまう。
月を見れば思い出す。
かけがえの無いものを喪いそうになった夜。
はじめて本当に大切なものが何か分かった夜を。
こうして時折一緒に月を見るのは、それを忘れてしまわないための儀式なのかもしれない。

「ねえキスさせて」

「はっ!?」

おかしい。変だ。
ていうかいつもそんなこと聞かないで勝手にキスするくせに。

「月の魔力にあてられたのかもね」

ザワリと風が舞い、何かの気配が強くなった気がして、その何かとは時々みかける何かに酷似していた。
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