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□青いホチキス
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パチ、ン、パチン。
功介は一人黙々と、プリントをホチキスで止めていた。
時々、廊下からの「また明日ー」の声が響き、静かな教室が余計に寂しくなる。
まだまだ目の前で針を待つプリントの山を見つめ、少しうんざりとしてきた所で、勢い良く教室のドアが開いた。
ひょいっと仔猫のような俊敏さで、それを裏切らない好奇心いっぱいの瞳をした少女が顔を出した。
「おすっ!あとどれくらい?」
「真琴?」
早くしないと千昭も待ってるよ、と真琴は言いながら空いている椅子を引き寄せ、机を挟んで目の前に座った。
「なんっかさぁ、功介は頼まれ事多いよねぇ」
本当は日直の仕事なのだが、たまたまそこにいた功介は予定があるというその子から仕事を預かったのだ。
ちょっと仕方ないな、という顔をして、けれども人望厚く、困った人をほうって置けない幼なじみは、真琴の自慢でもあった。
手近なプリントをまとめると、トントンと端を揃えて功介に手渡す。
「おい、さっき遅れるってお前達にメールしたろ。なんでここにいんだよ」
「千昭はもうグランド着いちゃってたんだって。あたしは掃除当番終わったから手伝いに来たの」
「真琴も先に行ってていいんだぞ」
一人で素振りしている千昭が目に浮かぶ。
それにこれは俺が頼まれたことだ。
そう言うと、軽く真琴は首を横に振った。
「いーから、いーから。千昭にもメールしといたし。だって二人でやれば二倍だよ!」
速さが二倍ということなのだろう。
ガッツポーズでにんまり楽しそうに笑う真琴。
「さんきゅ、な」
ちょっとじーんと来て、放課後の教室が急に明るくなったみたいだった。
「どーいたしましてー!じゃあ、あたしがプリント束にしてくから、功介どんどん止めてって」
「了解」
しばらく作業をしていて、ふと真琴の唇が艶やかに濡れていることに気が付いた。
「なあ、お前もしかして化粧なんかしてたりする?」
「わかったー!?友梨が貸してくれたんだ」
こいつもやっぱり女の子なんだなあと、意外に思った。
そして意外と似合っているとも。
「それなかなか良い」
「…ありがと」
って言ってもただの色付きリップだけどね、ちょっと照れ臭そうに笑った真琴は可愛かった。
こうしてどんどん、女の子は女になっていくんだろう。
うかうかとしていると誰かにとられてしまうかも、と、ふと心配になった。