PRG,1〜

□プロローグ
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走った。走った。
ヒザが笑っていた。
呼吸をするのもままならないほど肺が痛い。
恐らく風穴があるだろう腹の痛みはとっくにマヒしていた。
空はもう闇色だった。月明かりが仄かにアスファルトを照らす。

「…はっ、はっ」

少女の息はもうすでに上がっていた。それでも少女は走ることを辞めなかった。
止まれば、それは全ての終わりを示していた。
前へ、前へ。追いつかれる前に。


ヒュッ。


風を切る音がした。


少女が振り返った瞬間にそれは無情にも肉体に沈んでいった。グチャ、と異様な音をたてて。

「………っ?!」

痛みに目を見開くが、それをこらえ身体に突き刺さっている棒の先端にある鎖を力任せに引きちぎった。次に腹に刺さっている棒を抜こうとしたが、引っかかって抜けない。それどころか血が溢れんばかりに噴出し更なる苦痛を与えた。
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