神様と遊ぶ。

□吉日厄日。
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「ほああああああああああああ?!」
「うおおおおおおおおおおどうした市子ぉぉぉぉぉ?!」
「どうしたもこうしたもないいいいいいいいい!」

嵐丸の馬鹿あああああ!何で貧乏神と、か、か、間接キ、スなんてもんをしなき

「うるさいですよ市子。今更間接チューくらいであたふたしなさんな」

チラリとこちらに視線を向けた紅葉が放った一言は、この場を凍りつかせるのには十分だった。

「やはりお二人はそういう関係だったんですのね!」
「いやあなんともめでたい!おめでとうございます桜様、貧保田様!」
「そこの二人ノッてんじゃないいいいいい!もっ、紅葉も何言ってんのよ?!」

私の怒号を涼しい顔で受け流して、ちゃっかり人の膝の上から弁当箱を奪い取り咀嚼している紅葉。あんたそれ食べたら今日弁当2個目でしょうが!ていうか私のなんだけど!

「何って…事実じゃないですか」
「何の事実だ何のおおおおお!そんな事実がどこにあったああああああ!」

何なんだコイツ!そうまでして私を陥れたいのか!
右手をふりあげて紅葉の頭をぶっ叩こうとした瞬間。



びゅおおおおおっ!



「え、ちょっ、きゃっ!」

いきなり横殴りに突風が襲いかかってきた。反射的に目をつぶってその上から手で隠す。が。
ハンカチを握っていた右手に、感覚がない。
なんとか薄目で開いて右手を見ると、ハンカチが私の手の中から逃げて校庭に落下しようとしているところだった。

「嘘っ?!」

即座に追いかけるも虚しく、ハンカチは見事校庭上空ににエスケープを果たしてしまった。

「えぇぇ…うっそお…」

ちょっと前に可愛いなーと思って買ったお気に入りのハンカチだったのに…すぐに拾いに行かないとあっという間に砂まみれになるんだろう。
ここ最近晴れ続きで校庭が乾いているのがちょっとラッキーかな、と思ったけれどもそもそも校庭に落ちている時点で不幸じゃないか!どうした超絶幸福少女!

「あっちゃー…マジかよ」
「す、すみません市子さん、まさか飛んでいくなんて思わなくて…」
「俺取ってくるわ!ちょっと待っててくれ!」
「お待ちなさいな嵐丸さん!元々私が…!」

「あ、ちょっと別に二人が取りに行かなくても……ってもういないし」

私が二人に言い終わる前にバタバタと足音を立てて去っていった嵐丸と撫子。
そんな慌てて行かなくても、そもそも私が不注意で落としてしまったのだから二人が行かなくてもよかったのに。

「申し訳ありません、桜様。ハンカチについては後日改めて弁償を…」
「いやいやいやそんなのいいって!ていうか撫子達のせいじゃ……「重ね重ね申し訳ありませんが、撫子様のお手を煩わせてはいけませんので席を外させて頂きます!では」


「……おーい君等、人の話はちゃんと聞くっていうことを習わんかったのかね」

撫子を追いかけていった忍にそう投げかけてみたが、既に背中を見せて駆けていった忍相手には言葉のキャッチボールは案の定続いてはくれなかった。
こんな状況を作り出した張本人の紅葉はのほほんと食後のお茶なんかを楽しんでいた。今日一日の不幸な目に遭った恨み辛みをこめて睨みつけてやったが、チラリとこちらを一瞥しただけで毛ほども効いていないようだった。
というか今日こんな状況にあったのってこいつのせいなんじゃなかろうか。ていうか絶対そうだ!

「あっ、のっ、ねぇ!」

紅葉の前に移動して、上から睨みつけてやるがいつもと変わらずのやる気の無さそうな顔でこちらを見上げているだけだった。

「何ですか市子?そーんな目くじら立ててると歳食った時に後悔しますよ」
「うるっさいわこの貧乏神が!あんたあたしに何かしたでしょ?!」
「はて、何かとは?」
「とぼけんじゃないわよ!あんな悪乗りして終いにはお気に入りのハンカチふっ飛ばして!不幸エナジーを使って何がしたいのよ!」
「私がいつ不幸エナジーを使ったっていうんです?そもそもコレは外していませんよ?」

プラプラ、と目の前で振られたのは右手を覆うギプス。そういえば確かにコイツは外していなかった、ハズ。うん。
ということは今回の事態について紅葉は無関係ということで……


……いやいやいやいやいや!まだだ、まだコイツには問いたださないといけないことがある!

「てゆーかさっきのアレは何なのよ?!」
「市子、アレとかソレとか言われても分かりませんよ?熟年夫婦じゃあるまいし」
「ソレだよソレェェェェ!何だその『熟年夫婦』って!」
「円熟した夫婦のことです。」
「そんなボケ求めてねえよ!誰と誰が夫婦だ!」
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