□軽いケンカと仲直り
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「・・・ふ―――――――ん。」

アデルに事のあらましを聞き、ママは少しばかり拍子抜けしたような顔でつまらなそうに相槌を打った。

「・・・で?それから?」

「・・・それからって・・・。だから、それだけだよ。」

「なーーーーーんだ。」

ママはフゥッと溜息を吐くと、両手を上げてやれやれというように言った。

「もっとこう・・・アデルちゃんがロザリーちゃんの寝込みを襲ったとか、そういう面白い展開を期待したのに。」

「ばっ・・・!そ、そんなことするわけねぇだろ!!っつーか、面白がるなよ!!」

「はいはい。痴話喧嘩に口出しするのも野暮だしね。自分達でちゃんと仲直りしなさいね?」

「う・・・」

にっこりといつものスマイルで諭され、アデルはムグッと言葉を詰まらせた。

赤くなって言葉を詰まらせたアデルを見つめてクスッと笑うと、ママは軽く手を振って居間を出て行った。

(こんなことでケンカしてるくらいなら、まだまだ平和よねぇ。)

居間を出た後、心の中でそう一人ごち、ママはフフッと笑みをこぼした。



「・・・・・・・」

一人残されたアデルは再び大きく溜息を吐くと、ソファーにボフッと座りなおした。

(仲直りしろったってよ・・・。)

ムスッと眉間にしわを寄せ、天井を仰ぐ。

(謝ったって聞く耳持たねぇんだから仕方ねえじゃねえか。)

確かに着替えを覗いてしまったのは悪かったが、決してわざとではなかった。

(わざとじゃ・・・)

天井を仰いだままアデルは目を閉じ、顔を赤らめた。

わざとではないと言いつつ、ついつい先程目に飛び込んできたロザリンドの着替えシーンを脳内で再生してしまう自分が居る。

健全な若い男子なら仕方の無いことではあったが、心の底ではもっとしっかり見たかったと思ってしまっている自分に、アデルは肩を落とした。

(こんなこと考えながら、わざとじゃねぇって言っても説得力ねぇか・・・。)

ゴンと一回自分の頭を殴ってから、頭の後ろで腕を組み、もう一度大きく溜息を吐く。

少し休んで、ロザリンドの怒りが収まってからもう一度謝ろう。

そう決めて、アデルはゆっくりと目を閉じた。
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