裏置き場に行ってみたい!
□渇望
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1分ほど考えた後。
「・・・・・・ロザリー・・・」
アデルはそっと彼女に覆いかぶさり、ゆっくりとキスをした。
「・・・ん・・・」
軽く舌を絡め、唇の柔らかさを味わうように、口付けを深くする。
「・・・っ・・・ふ・・・」
唇を塞がれ、息苦しそうな吐息と共に、ロザリンドはうっすらと目を開けた。
「・・・・・・?・・・・」
ぼんやりとした目が、次第に焦点を結び、覚醒してくる。
と同時に、目の前にあるアデルの顔、塞がれた唇の感覚から、覆いかぶさられ口づけされているということにようやく気づいた彼女は、見る見る顔を真っ赤に染めた。
「・・・!・・・んっ・・・!・・・っばっ・・馬鹿者!!何をしておる!」
ばっと顔を離し、息苦しさから浅く息をつきながら、ロザリンドは、自分にのしかかっているアデルを睨み付けた。
「・・・やっぱ、起きちまったか。」
「あ、当たり前であろうが!!こ、こんな夜中に、お主一体何を・・・!」
声を荒げかけ、ふと、数時間前に自分たちは愛し合った後だということを思い出し、ロザリンドは口を噤むと、頬を染めて目を逸らした。
彼にどのように愛されたか、自分がどのように乱れたかが脳裏に蘇ってくる。
込み上げてくる恥ずかしさに、アデルから目を逸らし、ムスッとした表情で窓の外を見て、ぶっきらぼうに言った。
「・・・まだ、真っ暗ではないか。・・・余は、もう一度寝るっ。」
「・・・あれで起きなかったら、我慢して寝ようと思ってたんだがなあ・・・」
「・・・・・・?」
不意に耳に入ってきた不穏な発言に、ロザリンドはアデルに視線を戻して、問いかけた。
「・・・何じゃと?・・・どういう・・・っ・・・!・・・んっ・・・」
言い終わる前に、再び口を塞がれ、ロザリンドは戸惑った。
「・・・な、何・・・っ!・・・っ・・・!」
頬に、耳たぶに、首筋に、ちゅっ、ちゅっと続けさまにキスを落とされ、彼女の表情は見る見る焦ったものになっていった。
「ちょっ・・・!ま、待て!!こ、今宵はもう・・・、お主、先程まであれほどっ・・・!」
「・・・やっぱりまだ、足りてない。」
「なっ・・・」
「・・・もう一回、したい。」
間近から、真剣な熱を帯びた瞳で、正面から見つめられ、ロザリンドは息を呑んだ。
アデルの息遣いがかかる。
触れ合った部分から、彼の肌の熱が伝わる。
「・・・っ・・・」
ロザリンドは怒気を緩め、困りきったような表情を浮かべた。
彼からこんな風に迫られると、どうしても自分は弱くなってしまうのだ。
幼い頃から、生まれる前から、転生する前の前世からずっと、誰かに愛されることを渇望していた。
ずっと昔から、自分がどんなに望んでも得られなかった愛情を、アデルは惜しげもなく注いでくる。
そんな風に愛情を向けられても、不慣れな自分は彼にどう応えていいのかわからない。
ただ、その愛情を失うかと思うと、怖い。
彼を拒絶して、もし、彼に愛されなくなったらと思うと、怖い。
だから、拒めない。
「・・・・・・」
頬を赤らめたまま、むすっとした表情で顔を逸らし、ロザリンドは目を閉じた。
「・・・・・・この、無礼者め。」
小さな声でそう呟くと、おずおずと彼の肩に腕を回し、肯定の意思を表す。
「・・・・・・」
アデルは嬉しそうに微笑むと、彼女の頬に手を添えて逸らした顔をこちらに向けさせ、もう一度口付けた。