裏置き場に行ってみたい!
□お互いの想い(アンケお礼イラ追加)
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「・・・・・・!」
背を向けたアデルに、ロザリンドの胸はズキンと痛んだ。
しつこくしがみついたことを怒ったのだろうか。
遠ざかろうとする背中に、ひどく胸が苦しくなる。
子供の頃から今までずっと、前世ですらも、誰一人自分を愛してくれる者はいなかった。
そんな中で、初めて明確な愛情を自分に向けてくれたアデルが、離れていく。
心臓がつぶれそうに痛む。
「ッ・・アデルッ・・・!」
咄嗟に、彼を呼び止める。
また振りほどかれるのが怖くて、手は伸ばせなかった。
切羽つまったような彼女の声に、思わずアデルは背を向けたまま止まった。
「・・・・・・行くでない・・・」
ギシッとアデルの体が固まる。
(・・・そんな声、出すな。)
ただでさえ、もう理性が限界を迎えようとしているのに。
「・・・・・・余の側に、居てくれ・・・」
ピキ、と音を立てて、アデルの自制心が粉々になった。
いとおしさで胸がつぶれそうになる。
アデルは振り向き、座り込むロザリンドに近づくと、衝動的にキスをしていた。
「・・・ん・・」
一瞬ビクリと身を固めたものの、拒もうとはせず、おずおずと応えようとするロザリンドに、ますます想いが止められなくなる。
わずかに開いた唇の隙間から、舌を押し入れる。逃がさないように、抱きこみながら。
「・・・っ・・・ふ・・・っん・・・」
いつもと違う、荒々しさを含んだキスに戸惑いながらも、ロザリンドは拒まなかった。
アデルは浅く深く、何度も舌を含んだキスを繰り返す。
ようやく顔をはなすと、今度は頬や瞼に浅いキスを降らせる。
「・・・っ・・・!」
ロザリンドはアデルのキスに、せつないような苦しいような感覚を覚え、小さく息を呑んだ。
アデルはゆっくりと、頬から首筋にキスを移動させていく。
ビクッと彼女の体が震えるのが分かり、顔を離して彼女の目を見つめた。
彼女は戸惑ったような、どこか切ないような潤んだ瞳でこちらを見ていた。
「・・・・・・ロザリー・・・」
(抱いても、いいか・・・?)
そう尋ねようとして、アデルは口をつぐんだ。
今更、ロザリンドが嫌だと言ったところで、すでに自分はやめることなどできないということがわかっていた。
傷つけてしまうかもしれない。それはわかっているのに、止められない。
「・・・・・・ごめんな。・・・もう、止まれねえ・・・」
さすがにその意味が分からない程、ロザリンドも鈍くはなかった。
緊張と戸惑いに、体がこわばる。それでも、拒む気にはならなかった。
アデルの熱に浮かされたような目に、自分を求める想いが伝わってくる。
怖い、と思う気持ちもあったが、先程のように背を向けられるよりは、何倍もましだった。