小説
□始まりの場所5
1ページ/7ページ
「いや〜まいったなぁ!」
「まいったじゃないでしょうが!!どこをどうすればこういう状況になるんですか!!?」
「ちょーーーっと他の奴らより早く現場についただけだろう」
「あんたが免許取ったとか言って、軽くドライブ行くっていうからついてきたっつーのに・・・」
俺は一度深呼吸をすると、
「なんでこんなとこまで来て、しかもこんな状況なんだよ!?」
吸い込んだ空気を全て吐き出すように叫けんだ。
話は3時間前に戻る。
和田さんが車の免許を取ったのだ。
放浪癖のある和田さんは、今の今まで免許を持っていなかったらしく、久々に長く天伐隊に留まっていたため金が貯まったらしい(つーか、天伐隊って給料制だったんだな・・・)
周防さんの話だと、今回みたいに2年くらいいる時もあるし、3日でいなくなる時もあるそうだ。
いなくなったと思えば、それこそ3日で戻る時もあるし、1年以上戻らない時もあるらしい。
まあそんなわけで(どんなわけで?)、ドライブに行こうということになった。
あれから気流の修行も順調で、ついこの間、和田さんの必殺技である『旭』もなんとか使えるようになった。
結局使えるようになるのに半年かかったけど・・・
仙台支部での生活も残り一週間。
なんとか気流をマスターできたので、和田さんにどこか遊びに連れていけ、と言ってみたら、
「んじゃあドライブでも行くか」
と、実に安上がりな遊びになってしまった。
運転をする和田さんは免許取りたてで面白いだろうが、助手席に乗っているだけの俺は退屈でつまらんだろうと予想できた。
「そういえば、車はあるんですか?」
「あるよ。セルシオ」
「よく車買う金までありましたね。天伐隊ってそんなに給料いいんですか?」
「いや、車はジジイ(支部長)の」
「よく貸してくれましたね」
俺がそう言うと、ふ〜っ、と息を吐きだし、やれやれと首を振る。
「あのジジイが俺の頼みを聞くわけないだろう」
「じゃあ支部長の車どうやって使うんですか?」
「ふっ・・・合鍵はもう作ってあ・・・」
「なんであんたのやることはいちいち法に触れるんだ!?」
「法律ってーのはな・・・」
「和田さんのしょーもない理屈はもういいですから!」