小説
□始まりの場所5
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「かなりいい出来だと思うんですけどねぇ?」
「秋里の美的センスは、俺でも一目置くものがあるな!」
ウンウンとうなずく和田さん。
「・・・アホだろ、あんたら・・・」
「どちらへ行かれるんですか?」
「あぁ。やっと免許取れたからドライブにな。秋里もどうだ?」
「私まだ死にたくありませんし」
「どういう意味だくぉるぁ(巻き舌)!?」
「冗談ですよ。私はこれから用がありまして」
「どこに行くんですか?」
「東京の天伐隊本部へ」
「そういやジジイも本部行くっつってたな」
「出かけるなら近場にしてくださいねぇ。嵐くんも大地くんも支部長の付き添いでいないですし、私も離れるわけですから、いざというとき困りますからねぇ」
「しかしお前まで本部行くって何なんだよ?ジジイ一人で十分だろ?」
周防さんの忠告を軽く無視して和田さんが尋ねる。
「私もよくはわからないんですが・・・」
和田さんが口に手をあててう〜ん、と、うなる。
「今の本部長って胡散臭いんだよな・・・」
「自分が苦手だからって、そんな事言わないで下さいねぇ・・・」
和田さんでも苦手なものがあるのか・・・
どんな人なんだ?本部長って?
「『どんな人なんだ?本部長って?』・・・という顔ですねぇ」
「・・・」
毎回毎回、俺はどんな顔をしているんだろうか?
何で周防さんは表情だけで人の考えを一字一句的確にわかるんだろうか?
「なんとなくなんですけどねぇ」
「いや、もういいです。あ、そうだ。お土産は『ひ〇こ』以外ならなんでもいいですから」
「東京土産っつったら、フツー『ひ〇こ』じゃね?」
「皮が嫌いなんです」
「羽蝶くんが好きそうなものがあったら買ってきますよ。それでは」
そう言うと、周防さんは俺達が乗っていたエレベーターに乗り、地上へとむかった。
「俺らも行くか」
「そうですね」
天伐隊なんたらと書かれた看板をどかし(ついでに叩き壊しておいた)、車へと乗り込む。
ド・ル・ル・ル・ル!
ドルルン!
キーを差し込み回すと、軽快なエンジン音が駐車場に響いた。
「あぁ〜〜〜〜!!!」
・・・和田さんの叫び声も、一緒に・・・