小説

□始まりの場所5
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「だったら、やいのやいの言うなよ。さっさと行こうぜ」



俺は釈然としないまま、和田さんの後ろにつづき、車のあるところへむかった。



エレベーターに乗り込み、『B1』のボタンを押す。



天伐隊・仙台支部は地下5階からがその施設としてある。



地上部分には3階建てのビルが建っている。



これも天伐隊の持ち物だ。



ここには様々なテナントが入っている。



出版社やIT業界、エステティックサロンなど色々だ。



ただし、これらは全てフェイクだ。



天使の存在は一般人には知られてはいけない。



それを退治する天伐隊の存在も知られてはいけない。


なぜかそういう決まりらしい。



年齢、性別様々な人がいる天伐隊なので、様々なテナントが入っているビルを天伐隊の入り口にすれば人目を気にせずに天伐隊の施設に入れるわけだ。



チーーーン!



地下1階につき、エレベーターのドアが開く。



駐車場だ。



「え〜〜っと・・・ジジイの車はっと・・・」



和田さんがキョロキョロしながら車を探す。



「あれですか?」



俺はさっき和田さんが言っていた白いセルシオを指差した。



・・・最初に言っておくが、俺は車は全く興味が無い。



駐車場にはたくさんの車がある。



白い車も、だ。



それなのに、一目でそれが和田さんの探す車だとわかった理由・・・



「和田さん、天伐隊って一般人にばれちゃいけないんですよね・・・」


「当たり前だろ。天使の存在がばれたらパニックだぞ」


「そうですよね・・・じゃあ、あれは何なんでしょうね?」



俺は、支部長の車を差していた指を、その前にある立て看板へと動かした。



「あ〜・・・じゃまだな〜、あれ」


「立て看の存在よりも、引っ掛かることがあるでしょうが!」


「『天伐隊支部長専用駐車場』・・・か?」



和田さんがおそるおそる立て看に書いてある文字を読んだ。



「全然秘密じゃないじゃないですか!?」


「頑張って作ったんですけどねぇ・・・」


「あ〜・・・そうかそうか、あなたですか、あれを作ったのは」



気配もなく表れた周防さんの一言に、俺は肩を落としてつぶやいた。



いまさら周防さんの神出鬼没に驚く俺ではない。



これも慣れだ。
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