小説
□夏色
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「ちょっと〜、どうしたの〜?」
やばっ!!
「ん〜ん、なんでもないよ〜。友達から電話きただけ〜」
「ふ〜ん」
ふ〜、あぶないあぶない。
「・・・お前も人前じゃ、猫っ被りなんだな」
「うるせっ!!お母さんに心配かけたくねえだけだ!!」
羽蝶の言葉に、さっきより小声で話す。
「それより!なんの用だ?」
羽蝶がわざわざ電話をよこすぐらいだ。なにかしらの用があるのだろう。
「あぁ!そうそう、お前、今日から4、5日、出れるか?」
「4、5日って事は、泊まりか?一体なんだよ?」
素っ気なくこたえたが、内心ワクワクしていた。
夏休みに4、5日の泊まりといったら、海か、山か、はたまた・・・とにかく、遊びのプランは広がるばかりだ。
しかし、次の羽蝶の言葉で、その考えは見事に打ち砕かれた。
「おう。今回の相手はちょっと手強いからな!」
・・・相手?
・・・手強い?
・・・何の話?
「一体なんのことだ?」
「あ?天使のことに決まってんだろ?」
さも当然といった風に羽蝶がこたえる。
「遊びじゃねえの!?」
わざわざ4、5日も掛けて天使退治!?
そうでなくても、毎日の様に天使と闘っているっていうのに!!
これ以上、貴重な休みを削りたくない!!
「やだ」
「まあそう言うとは思ったけど、ちょっと話聞け」
「・・・」
「今、ニュースで台風のことやってるの知ってるか?」
そりゃ知ってる。さっき見たばっかりだ。
「うん」
「そうか。んで、その台風なんだけど、天使が起こしたものなんだ」
「え!?」
「最初話したと思うけど、天使は自然災害を発生させることが出来る」
そういえば、そんな話を聞いたような・・・
「いつもなら、台風起こすだけで、後はなんの関係もなかったんだが、今回は厄介なことに、各地で天使が『共振』しやがった」
「きょうしん?」
「これを行うと、他の天使が発生させたものを、共振している天使のとこまで範囲を広げられるんだ。今回は台風だから、共振している天使のところを、台風が通る」
「!!じゃあ、ここも!?」
「この町ではないが、近くに共振している天使がいる。この町にも十分な被害を及ぼすだろう」