小説

□夏色
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「マジかよ・・・」



「しかも、共振出来るって事は、相手は『中級天使』だ」



また、新しい単語だ・・・


今度は、僕が聞く前に羽蝶はこたえた。



「今まで闇丸が倒してきた天使は、『下級天使』つって、あんまり強くない、いわばザコだな。」



「んなこと言ったって、今までの天使も結構強かったじゃねえか!それ以上に強いって事か?」



「数段、上だ」



これまで倒してきた天使よりも、上?



今までの天使との闘いだって、羽蝶に守られながら、弱ったところを闇の力で倒してきただけだ。



闇の力以外は、晴れの日嫌いのただの小学生の僕に、そんなのと闘えるはずが無い。



そう思っていたら、



「今回は、どうしても闇丸の力が必要なんだ・・・」


耳を疑った。羽蝶が僕の力を必要としている?



「俺みたいに、剣術くらいしか能がないと、中級の天使は倒せない・・・。俺の他にも、天使を倒してる奴らはいるが、今回は全国数ヶ所に同時発生しちまって、特殊な力を持った奴はみんな主要都市の方に行っちまったし、他に能力を持った奴なんて、知らないんだ・・・」



いつも人前では完璧で、僕の前ではおちゃらけてた羽蝶からは想像出来ないくらいによわっていた。



「・・・しょうがねえな・・・天使退治、手伝うって言っちまったもんな!」



認めたくないが、羽蝶は僕の恩人だ。しかも、密かに尊敬もしている。



そんな人が困っているんだ、助けてあげなきゃ男じゃない!



「お!マジで!?サンキュー♪さすが闇丸!!そう言ってくれると思ったよ♪」


・・・あれ・・・?



「じゃあ、さっそく行くぞ?」



ガラッ



庭のガラス戸が開いた。



「・・・ずっとそこにいたのか?」



人ん家の、庭に・・・



「お前は小さいことを気にしすぎだ!だからそんなにちっちゃいんだぞ?」



大きなお世話だこんちくしょう!!



「行く前にお母さんに言わないと・・・」



「ママさんには俺から言っといたぞ!これから5日、キャンプに行きますって!」


「何時の間に・・・」



勝手に人ん家に来て、軽く僕を騙して、僕が紹介する前にお母さんと話して、あと、ママさんって言うな・・・



「しゅっぱ〜つ♪」



羽蝶の元気な声だけがリビングに響いた。



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