小説
□夏色5
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天使を退治する者たちの組織、『天伐隊』・・・
その天伐隊を、ついに天使たちが標的とした。
全国に現れた中級天使。
その中級天使を退治するために、各地に散らばっていた天使狩りのメンバーはひとまず、それぞれの地区にある天伐隊の支部に集まる。
そこを狙ったようだ・・・
ここ、仙台支部も例外ではなかった・・・
「状況を報告してください」
天伐隊・仙台支部の支部長である周防秋里の声が響いた。
「東北各地で共振を行っていた中級天使たちが共振を止め、ここ仙台支部へと向かっています」
「・・・数は?」
「青森にいた中級天使は北海道へ向かったようなので、中級天使が3。うち、6級が2、5級が1。下級天使が10。うち、9級が2、8級が3、7級が5、です!」
「ふ〜・・・なかなかやっかいですねぇ・・・」
「なあ、羽蝶。今言ってた5級とか6級とかってーのはなんなの?」
僕は、支部長たちの会話でのわからないところを聞いてみた。
「天使の迷惑度って感じかな?数字が小さいほど、天使の起こせる災害の規模なんかが大きくなる。んで、7級までが下級天使で、6級からが中級天使。階級1つ違うだけで、だいぶ出来ることが増えっちまうんだ」
「例えば?」
「下級天使は地震は起こせないし、台風だって無理だ。下級天使が出来るのは、雨を振らせることぐらいだな。少ない雨を、短時間。これが限界。ただ、中級天使になると、今回みたいに台風を発生させることが出来る。階級が1つ違うと、風力も1〜3メートルは違う」
「・・・全然ピンと来ねえ・・・もっとわかりやすく!」
羽蝶は、はぁ、とため息をつきながら、やれやれといった感じで、首を左右に振る。
わかんないんだから、しょうがないだろ・・・
「じゃあ、1番わかりやすく言うぞ?単純に、階級が上の天使は、強い!今回の天使は、ここ来る前に言った通り、俺一人じゃ勝てない!そんな天使が3体!その他、下級天使のなかでも上位の奴が5体!・・・わかったか?かなり、ヤバイ・・・」
羽蝶の言葉の端々が強くなっている。
本当に・・・本当にヤバイ状況なんだろう。
ここに来る途中に考えていたことだけど、あの羽蝶が勝てないという天使を相手に、僕なんかが役に立つのだろうか・・・