小説

□夏色5
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「・・・だけど、大丈夫だ・・・!」


「え?」



羽蝶の声に、顔を上げる。



「俺だけじゃあ倒せないけど・・・」


「あたしらがいるよ!」


「り、理緒さん・・・」


「一人じゃ倒せない天使を倒す・・・そのための、」

『天伐隊だ!』


「支部長・・・その他の人たち・・・」


『その他って言うな!!』


ポンッと、僕の肩に手が乗る。



「それに闇丸もいるしな!」


「本当にオレなんかが役に立つのか!?」



そう言った僕に、ムッとする羽蝶。



「俺は、闇丸が頼りになるから連れてきたんだ」


「羽蝶くんから聞いているけど、闇丸くんの闇の力は天使に対してかなり有効だからねぇ。本当なら、一般人の、しかも君みたいな子供にこんなことをお願いはしたくないんだけれど・・・私たちに、協力してくれないかなぁ」



なんの取り柄のなかった僕が・・・



羽蝶と出会って・・・



天使の存在を知って・・・



自分の秘められた力に気付いて・・・



初めて人に必要とされて・・・



そして今度は、人知れず人々を守っている人たちにも頼りにされている・・・







改めて思う。






羽蝶と出会って、よかったって。







「・・・僕で・・・いいんなら・・・」



正面にいる支部長をしっかりと見据える。



「協力します・・・いえ、させてください!」



羽蝶がニッと笑うのが見えた。



「ありがとう、闇丸くん・・・天使はあとどれぐらいでここにつきます!?」


「・・・一番近い天使でも、あと8時間はかかります!」



その言葉を聞いた支部長は、少し考えてから、



「・・・それでは皆さんは、天使到着まで休んでいてください。時間になりましたら、お知らせします」



それを聞いた天使狩りのメンバーは、奥にあるという休憩室、および仮眠室へと向かった。



それぞれが天使到着までの間に体を休める。



そして7時間後・・・



「それでは皆さん、そろそろお願いします」



支部長の声に、今まで休んでいたみんながサッと準備を済まし、表へ出る。



「それではこれから、中級天使を担当する方を発表します」



天使狩りのメンバーは落ち着いているが、僕は一人緊張した。
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