単発小説
□風とともに
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「お〜う!またな〜」
「バイバイ!羽蝶くん!」
「さよ〜なら〜♪」
それぞれのあいさつに、片手をあげて、応える。
そうして教室をあとにした羽蝶は、一度自分のロッカーに寄り、『いつも』の道具を手にして、学校を出た。
10分くらい歩っただろうか。
小さな公園に着く。
キョロキョロとあたりを見渡し、一人の小柄な少年を見つける。
むこうも気づいたのか、手を大きく振る。
「おせぇぞ、羽蝶!!どんだけ待ったと思ってんだ!!」
「や〜、悪い!闇丸!今ちょっとそこで道聞かれちゃって」
「ほう」
「それが外人でよ!『ア〜キハ〜バラァワ、ドゥコデスクワァ』って聞かれてよ!外国じゃあまだメイドとか、ブームなのかな!」
はっはっはっ、と笑う羽蝶。
それに対し、疲れたように片手で頭を抱える闇丸。
「・・・東北で秋葉原探す外人がどこにいる・・・?」
「・・・」
「・・・嘘なんだろ?」
「あぁ!!」
「アホかぁぁぁぁ!!!」
ビッと親指を立てて答える羽蝶に、背負っていたランドセルをブン投げる闇丸。
ゴキンッッ!!!
とてもランドセルが当たったような音とは思えない、鈍く、重い音がした。
「なんでそういうわけわかんねぇ嘘つくんだお前は!微妙に本当かな?とか思っちまうだろ!?」
「遅れた理由があると、怒んねぇかな〜と、思って」
「ほかにまともな理由、思いつかなかったんかい!」
「ウケるかと思って・・・」
「笑わすこと前提の言い訳って、なに!?」
「それよか、なんか今日、ランドセル重くね?ミョ〜に硬かったし」
「ん?・・・あぁそうだ。今日はランドセルに鉄板仕込んでみたんだ!鉄アレイとかもつめて。全部で10キロ以上はあるかな?」
「そんなの顔面に受けたら怪我するっつの!!」
「・・・してねぇじゃん・・・」
「してないけど!!」
「・・・じゃあいいじゃん」
「・・・うん・・・?」
なんだか腑に落ちない様子の羽蝶を無視して、ランドセルをしょった。
あ、ここからは僕こと闇丸が進行します♪
「10キロのものをブン投げるって、かなり非常識な腕力してんな・・・」
おいおい、ヘンタイが非常識っつー言葉を使うなよ。
なんかムカつく・・・