単発小説
□風とともに
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「あ!そういえば高校って今頃テストじゃなかったっけ?」
あまり羽蝶にツッコまれたくなかった僕は、無理矢理話題を変えた。
「もう終わってるって。今日で全教科返ってきた」
「へぇ。どうだったんだ?」
「俺を誰だと思っている!?天下無敵の羽蝶さんだぜぇ?ま、学年トップは固いな♪」
「うそつけ!!」
「・・・一言のもとに否定したな?」
「ありえない。つーか、無理?」
そう言う僕を尻目に、カバンをがさがさとあさる羽蝶。
「これを見ろ!!」
羽蝶の答案用紙だった。
・・・ガクッ・・・
それを見た瞬間、僕の足から力が抜け、膝をついた。
両手を突き出し、なんとか倒れないようにする。
それが精一杯だった・・・
「・・・そのリアクションは、失礼じゃないか?」
羽蝶がなにか言っているみたいだが、よく聞こえない。
「おかしい・・・!!」
「俺が頭いいのって、そんなに変か・・・?」
「変・・・。変っていうか・・・この世界は、もう終わりなんだな・・・」
「おい!!」
「!!そうか!!お前の高校、千点満点なんだろう!?」
「どんなテストだ?」
・・・どうやら本当に頭いいらしいな、こいつ。
羽蝶のことを、普通にすごいと思った僕だったが、
「そんなことより、今日は何して遊ぶんだ?」
「天使は!?」
・・・そんな考えは、すぐにぶっ飛んだ・・・
「最初の天使倒して5日たってんだぞ!?ず〜〜と晴れの日だったのに、なんで1体も出てこねぇんだ!?わさわさ出てくるんじゃなかったのか!?」
「わっさわっさ出てきたのを、バッサバッサ斬ってきたぞ?5日に8体のペースは、さすがにきつかったなぁ・・・」
ブンッ・・・
ゴンッ!!
「オレが倒さねぇと、意味ねえだろ!?お前が倒しても、オレの晴れの日嫌い治んねえだろ!!」
遠心力をつけて10キロ強のランドセルで頭を打ち抜いたはずなのだが、やっぱり羽蝶は無傷だった。
・・・一度どこまで大丈夫か、試してみたい。
「すまん!つい、手が出ちゃったんだよ!!」
ついって・・・
ダイエット中の女性が、甘いもの食ったときの言い訳みたいなこと言いやがって・・・