単発小説

□巨女
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キーンコーンカーンコーン



授業終了を告げるチャイムが、学校中のスピーカーから流れだす。



それを俺はあと50メートルで校門だというところで聞いていた。



「まさか、生理痛がひどいから、で抜け出せるとは・・・」



誰に言うわけでも無いが一人つぶやく。



黒い学生服に身を包み、剣道の竹刀入れを肩に掛けたいつものスタイル。



そう!みんなのアイドル!取之州羽蝶だ!!



今日も今日とて闇丸を迎えに小学校へと向かう。



生理痛云々は授業を抜け出すための嘘だ(あたりまえだ!)。



毎日毎日早退するのだが俺のいい加減な言い訳がなぜか毎回すんなり信じられる。



自分の通う高校ながら、おかしいんじゃないかと思う・・・



まあ、そのおかげでこうして早々と学校を抜け出せるんだから特別問題はない。



さあ闇丸のところへ行こうと足を進める。



「待て!!」



後ろから声がかかる。



辺りに人がいないので、俺に言っているんだろう。



だが、振り返ってみても誰もいない・・・



不思議に思って辺りを見回すが、誰の姿もない。



「・・・?」



気のせいだろうか?



・・・いや、気のせいじゃない。



俺の視界が少し暗くなる。



「上、か・・・あぁ!!?」


「死ねぇぇぇぇ!!」



パァァァン!!



なんとか肩に掛けてあった竹刀入れ(若松入り)で空からの一撃を防いだ。



「どこ行くつもりだ、羽蝶!今日も部活をサボるつもりか!?」


「いきなり何すんだよミーちゃん・・・」



ブン!



パァン!



またしても竹刀を振り下ろされ、それを辛うじて受けとめた。



「学校では俺のことは戸部先輩・・・せめてイサミ先輩って呼べって言ってるだろ!?」


「わかったよミーちゃん」


「ミーちゃんはやめろぉぉぉ!!!」



竹刀を振り回しながら俺を追い掛けてくるこの人は・・・



身長175センチ



髪は短髪、オトコ前!



女子の人気を俺と二分する超美形!



戸部 イサミだ!!



そう、あのアゲハを弟にもつ、天下無敵の剣道部主将様だ。



覚えているだろうか・・・



アゲハの言葉を・・・



『お姉ちゃん』と言う言葉を・・・
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