書庫室のとなり

□それは序章への道しるべ
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あの出来事から千年もの歳月が過ぎ去った
その間に起こった出来事さえも伝説になるほどの歳月…
その歳月を境に再び彼は目覚める……



「……今日も雨なの?ユキカゼ」


「ええ…ヒュウガ」



「俺はいつまで此処にいれば良いのかな?」


「……もう少しの辛抱ですよ……必ずこの地下牢が出してあげるよ」



薄暗い地下室の牢屋に一人の少年が入れられていた
そしてその少年に良く似た面差しをした少年がその牢屋の前に存在している


「一体……、いつになったら会えるんだろうね?」


「…大丈夫…もうすぐ会えるから……待っていて?ヒュウガ」


「本当に?」


「ええ……私たちの主…フェアローレン様の魂を持つ人に………」


彼らは歴史に遺らなかった………遺されなかった魂の持ち主………
かつてリヒトとナハトと呼ばれフェアローレンに使えた者の生まれ変わりだった



「そっか……じゃあもう暫くは大人しくしてるね」


「ええ……私はもう下がるけど欲しい物はあるかい?」


「え〜と…飴と絵描き用の紙とペン?」


「……クス…あと刀も欲しいでしょ?」


「欲しいけどすぐに取り上げられるんだよな〜」


「うん、じゃあそれらを持ってきてあげるね」


そう良いながらユキカゼはヒュウガから離れ地下牢が出ていた


「ユキカゼ様…またあの鬼子の所に行っていたのか?あれほど止めろと言っただろう?」


「黙れ…ヒュウガは宗家である私の実弟だ…分家の分際で口が過ぎるぞ」


「……っ!申し訳ありません…では、私はこれで………」


ヒュウガを侮辱する分家のものに睨みつけると苦虫を噛み潰した顔で去っていった


「やれやれ……一族の者はヒュウガの紅い瞳が嫌いだからなぁ」


ユキカゼは自分の碧い瞳を鏡に写しながらヒュウガの瞳を嫌う一族に対して微笑を浮かべる


「ユキカゼ様…この後はいかがなさいますか?」


「少し出掛けるよ……あの方に……アヤナミ様に会いに行きましょう」


「いってらしゃいませ……ユキカゼ様」


ユキカゼがそう言いながらその場を後にすると使用人の者は頭を下げそれを見送る
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