書庫室のとなり

□それは新たなる旅立ちへ
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時は流れ始まりを告げる
新たなる歴史を紡ぎ出すための鐘が鳴り響く
大いなる闇が今、動き出す


「あっ!ユキカゼ!遅いよ〜」


「クス、ごめんね?準備と仕込みに時間がかかってね?」


「今日は当主継承の特別の日だから?」


「うん、特別な日だからヒュウガも特別参加だよ」


「思い切りやって良いんだよね?」


ニッコリと微笑みながらユキカゼに甘えるヒュウガ


「ええ……思いっきりね…それとその前に会わせたい人がいるんだ」


「会わせたい……人?」

「ええ……どうぞ、お入り下さいアヤナミ様」


地下牢の部屋に入るための出入り口から一人の少年が入ってくる


「……そいつがヒュウガか?ユキカゼ」


「はい、アヤナミ様」


「………えっ…」


「くっ…マが抜けた顔だな?ヒュウガ……いや……ナハトと呼ぶか?」


「…フ……ェア?」


「かなり久しいな………ナハトよ」


アヤナミの姿を見るなりその紅き瞳から涙がこぼれ落ちた


「ユキカゼと会った時と同じリアクションだな」


「そりゃ、双子ですからねぇ?」


「…ひどいよ!ユキカゼ!!フェアの事を黙ってるなんて!」


「ごめんね?ビックリサプライズにしたかったし……周りの邪魔者がアヤナミ様を君に会わせまいとしたからね」


「ちぇ…、ねぇ?そいつらも………って良いんだよね?」


「もちろんですよ?今まで我慢してきたんだから遊んで良いんです」


「私はそれを高みの見物をさせて貰う………存分にやるといいさ」


「了解です」


三人は微笑と取れる笑みを浮かべて楽しげにしていた


「あっ、フェアは今はなんて名前なの?」


「……ユキカゼが呼んでいただろう?今の私の名はアヤナミだ」


「そっか、じゃあさ、アヤたんって呼んで良い?」


「相変わらずだね、ヒュウガは……この場合はナハト?」


「細かい事は気にしないの!前世の名前も今は関係は無い………はず?」

「なぜ疑問系なんだ?あの時と同じだ……お前の好きに呼べ」


「わーい♪」


「あんまり甘やかさないでくれませんかアヤナミ様」


「別に構わないだろう?今の今まで我慢を強いてきたのだろう?それにお前に言われたくないぞ」


アヤナミは自分を好きに呼ぶ許可をヒュウガに与えると甘やかすなと言う注意をさらりと跳ね返した


「……そうですね」


「ねぇ?本当はアヤたんと色々とお話したいけどそろそろ時間じゃないかな?」


「コレから好きなだけ話せるだろう…確かに時間になるな」


「では参りましょうか?継承の義へ……」



カッカッと爽快な音を奏でながらその薄暗い地下牢の部屋にはいるべき存在は無く誰一人といなかった
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