書庫室のとなり

□それは序章への道しるべ
2ページ/6ページ


そしてその頃、地下牢ではヒュウガが暇を持て余していた


「う〜ん、ユキカゼが戻っちゃたから暇だ〜………アレ?」


「ふん…相変わらず血の様な瞳だな」


薄気味悪いと言わんばかりの眼差しを向けてくる男がソコにいた


「……アンタが此処にくるなんて珍しいね?俺の事、嫌いの癖に」


「ふん、おれだって貴様の顔など見たくは無い」


「じゃ、来るなよ」


矛盾する事を行っている分家筋の男に正論を跳ね返すヒュウガ


「だが、そうワガママを言ってるヒマは無いのだ……ヒュウガよ……ユキカゼの弱みを教えて貰おうか?」


「……ソレを知ってどうするの?」


「決まってるだろ!あんなガキが次期当主になるなどふざけている!!」


「血筋じゃあ、当たり前の位置にいるんだけどね?」


「黙れ!あんなガキなんかよりおれの方が宗家当主に相応しい筈なのにどいつもこいつも節穴だ」


(イカレてるのはアンタだよ)



ユキカゼは幼くして当主の座につく事が決まってるのだがその座を狙う身内の一派の者が多数いる…………
目の前のその座を狙う者の一人だ


「おれが当主になれば貴様の様な鬼子など即座に処分するものを!」


「一族に伝わってる文書にあるだろ?俺みたいに『紅い瞳を持つもの鬼の子なり…殺せば災厄が起こるが故に飼い殺すべし』ってさ」


「そのような迷信じみたものを信じているのも気に食わないのだ!神などいるはずの無いのだ!セブンゴーストも!フェアローレンも全て作り話に過ぎん!」


そう激昂する男を冷めた紅い瞳で憐れみに似た笑みをヒュウガは浮かべる


(ああ………自由がきけば……刀が此処にあればこんな男なんて………斬り捨ててあげるのに)


「何が可笑しい!!」


「別に?」


(フェアの存在を否定する輩なんて…………殺してしまいたい)


自分に殺気まじりの言葉を飛ばす男を軽くあしらいながら目の前の男をどう料理するかだけがヒュウガの中にあった
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ