小説1 (男主)

□鈴の瞳に
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次の日の朝を迎えていた。



鈴は窓から射す日差しで目を覚ましていた。ゆっくり上半身だけ起き上げ伸びをしている。黒怜はまだ枕下で寝ていた。

「おはよう、黒怜」

(……ん………?)

黒怜はまだウトウトしながら目を覚ましていた。黒怜は朝が大の苦手なのだ。

(おはよ………鈴)

黒怜が伸びをすると鈴の頭の上に登っていったのだ。

「黒怜、相変わらず朝に弱いね」

(……元々、俺は夜行性だからな)

「そうだね。あっ!!魔姫迎えにいかないとね」

鈴はニッコリ笑いながらベットから抜け出し、寝巻から服に着替えようとしていた。

「どうしたの?黒怜」

(………っあ、いや何でもない)

黒怜はそう言いながら顔を背けていた。鈴が寝巻を脱ぐ姿を知らず知らずに凝視してしまったのだ。鈴はお構いなしに服を着替えていた。黒怜は鈴かが着替え終わるまで、頭から離れることにしたのだ。

(………)

少しして鈴が着替え終わると黒怜は鈴の頭に乗っかっていた。

「さて、魔姫を起こしにいかないと!!」

鈴は勢いよく部屋を飛び出したせいで、扉の前に立っていた人とぶつかってしまったのだ。

「イタタタ……ごめんなさい!!」

鈴がぶつかってしまった相手から離れようとしたが逆に抱きしめられてしまった。

「え!?!?」

「朝から大胆な行動をしてくれますね。鈴?」

鈴は自分より背の高い相手を見上げると顔がハッキリ見えたのだ。

「杏美!!」

「おはようございます。鈴に黒怜」

「おはよう………って、いつまでこうしてるんだよ!?」

(おい!!馴れ馴れしく鈴に触れるな!!)

「おや黒怜、私に妬いているのですか?」
杏美は黒怜をみてクスっと笑っていた。

(……杏美……)

黒怜に睨みつけられた杏美は冗談っぽく肩を軽く竦めながら鈴をそっと離した。

「相変わらず黒怜は冗談が通じませんね。」

(ほっとけ!!)

黒怜の機嫌が悪くなる前に鈴は話しを変えることにした。

「ところで、杏美がここまで来るんだから何かあったの?」

「あぁ、そのことですか。実は魔姫を起こしに行ったのですが部屋には居なくて、鈴の方に来ているかと見にきたのですが」

「えっ??俺の方には来てないけど。今、魔姫を呼びに行こうとしてたんだよ」

(もう食堂に居るんじゃないのか?)

「それが来てないのです。おかしいですねぇ」

「何がおかしいの?」

「昨日の夜、宮殿の中での行動を伝えたのですが。朝起きたらまずは食堂に来るようにと」

「う〜ん……。黒怜、魔姫の気配辿れる?」

(ああ。今やってみる)

「杏美、魔姫は俺達が捜しとくから。見つけたら食堂に連れて来るよ」

「そうしてもらえると助かりますよ。ではお願いしますね?」

「うん!!」

黒怜が道を指し示すと鈴はそれに従い走っていった。杏美は鈴達の後ろ姿を見送ると食堂の方に帰っていった。


(杏美の奴、ちゃっかり面倒事を俺達に押し付けやがったな……)

「別にいいじゃん♪黒怜、こっちでいいんだよね?」

(ああ)

進むに連れて人気のない中庭にが見えてきたのだ。中庭から人の声が聞こえてくる。

「お前、調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」

「蕾夭様が認めてるからって、いい気になるなよ!!」

「聞いてんのかよ!!ああっ!?」

聞こえてくる声に鈴は眉を潜めていた。

「何か揉めてるみたいだけど……」

(楽しい雰囲気ではなさそうだな)

鈴は建物の影からこっそり中を見た。

「魔姫!?!?」

排除人見習い達に囲まれていたのは魔姫だった。鈴は中庭に飛び出していた。魔姫は鈴の姿を見たとたんニッコリと笑っていた。

「おぉ〜!!鈴〜助かったぜ♪」

「お前ら何やってんだよ!!!!!」

鈴が睨みを効かせて排除人見習いに近づいていった。鈴のあまりの威圧感に皆が後退りした。

「やっべ………鈴たぞ………おい!!」

「おっ俺に言うなよ!!」

「一先ず、ずらかろうぜ!!!」

排除人見習い達は急いでその場を離れていった。居なくなったのを確認すると、鈴は魔姫に駆け寄った。

「魔姫!!大丈夫!?」

「どってことねぇよ。それに鈴達が来てくれたしな♪」

笑いながら言う魔姫だったが魔姫の顔には殴られた痕があったのだ。

「魔姫!!どってことないでしょ!!」

鈴が顔の痣に触った。

「イッテ〜〜〜〜〜〜!!」
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