小説1 (男主)

□少年アリス
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白兎は気を取り直しながら耳を上げていた。

立ち直りが早い白兎。

「僕がアリスの前に出るなんて、そうそう無かったんだからね?こんなに出てきてるのは、今までのアリスを見てきた中で君だけなんだから♪」

今までって、白兎はどのくらい生きているのだろ?不思議に思う。

「へぇ。リ〜ス〜早く晩飯〜!」

「はいはい」

白兎の力説は虚しくアリスに軽く流されていた。

リースは厨房の方に消えて行く。

白兎はアリスの反応を見て深い溜息。

僕って可哀相みたいなオーラを出してるし。

「アリスちゃんつれないよ〜」

「うるせーなー。俺は腹が減ってんの!!」

アリスの子供らしい態度に白兎は頬が緩んでいる。

アリスちゃんは、やっぱり可愛い。

本人には勿論、言わない。巨大鎌出されてバッサリ切られたらシャレにならないし。

心の中に閉まっておこう。


リースは料理をテーブルにせっせと運んでいた。

何をやっても手際が良いチェシャ猫。

アリスの自慢の親友。

テーブルの上に並んだ料理を眺めながらアリスと白兎は目を輝かせている。

「美味そ〜〜〜〜!!早く食おうぜ♪」

白兎はリースを感心して見ている。

「チェシャ猫君は本当に料理が上手いね。あっ!僕の好きなキャロットサラダ〜♪」

リースは微笑みながらアリスとリースを見ていた。

「ふふふ。冷めないうちに早く食べようか」

アリスの大声で夕食の時間は始まる。

「んじゃ、いっただっきま〜〜〜す!!」

豪快に料理を食べるアリス。育ち盛りの少年だから食欲も旺盛。

でも、よく見ると野菜をさりげなく残しているアリス。

リースは勿論、見逃さない。

「アリス、野菜もちゃんと食べなさい」

「げっ!!バレたか……」

アリスは仕方なく飲み物で野菜を飲み込んでいた。

白兎といえば、肉食じゃない為にサラダしか食べてないし。

アリスは驚いた表情をしている。

「白兎……よくそんなモン食えるな……」

「ふふふ、僕はベジタリアンだからねぇ♪」

他愛もない会話をしながら食事の時間は過ぎていく。

食後の後、アリスはソファーに寝そべりながらくつろいでいる。

白兎はいつまで居るつもりだろう?

「で、白兎はいつまで此処に居るんだ?」

「え?今日は此処に泊まるよ♪」

当たり前のように言う白兎。

アリスは呆れていた。

「お前、何勝手に泊まろうとしてんだよ!?」

「別にいいじゃ〜ん。空き部屋なんていっぱいあるでしょ?」

確かに空き部屋はいっぱいある。

この屋敷に住んでるのはアリスとリースの二人だけなのだから。

必要のない部屋ばかりだ。

白兎に何を言っても意味わないだろう。だからアリスは溜息をつきながら諦めた。

「好きにしやがれ」

「ふふふ♪」


リースが食器洗いを終えて3人分の紅茶を持って来ていた。

白兎は紅茶の薫りを楽しんでいる。

白兎は紅茶が大好きらいし。

「今日は何人狩ったのかな?アリスちゃん」

「数なんて数えてられるかよ」

一々、数なんて数えてられるわけがない。

数え切れないほど殺してきたのだから。

「ふふふ、それもそうだね。君を狙っている輩なんて腐るほどいるからねぇ」

「白兎は何でもお見通しなんだろ?アリスってのは面倒な役割だな」

だって白兎はアリスの監視役だから。

白兎は悪びれも無い感じだ。

「まぁね……僕はアリスの監視役だから。アリスはトランプのタトゥーを生まれ持ってしまった者の宿命」

言われなくてもわかっていることだよ。

アリスだから。

リースは言葉を繋げる。

「その宿命から逃れることは出来ない。アリスも、チェシャ猫である俺も」

チェシャ猫もわかっていること。

逃れることの出来ない宿命。

白兎はニッコリ笑っている。

「チェシャ猫君、わかってるじゃない」

アリスは不機嫌そうに白兎を見る。

「いい迷惑だぜ……。まぁスリルがあって退屈はしないけどな」

アリスは無邪気に笑ってる。

でもリースはその姿を見て胸が痛くなったんだ。

「アリス……」
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