小説1 (男主)

□少年アリス
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まだ14の少年がアリスという立場から欲望を抱えたおおくの者に狙われ、命を狙われることもある。

だから何人もの命を手にかけている。

国を守る為に死ねない。

普通に生きることも出来ない。

普通に生活が出来たとしても、アリスを狙う者は消えない。

そんな中で宿命と向き合って生きようとするアリスを見ていてリースの心は安心する半面、哀しみもある。


白兎は時計を見るなり手を叩いた。

良い子は寝る時間。

子供扱いされたアリスは少し拗ねていた。

でもアリスは眠そうに目を擦っている。

リースと白兎は微笑みながらアリスを見ていた。

「ほらアリス、部屋に行こうか」

「何だよ〜〜リースまで子供扱いしやがって〜〜〜」

アリスは駄々をこねる。

でもリースはお構いなしにアリスの手を引きながら部屋に連れていく。

白兎はアリスに投げキッス。

「アリスちゃん、おやすみ〜」





部屋に着いたリースはアリスをベッドに横にさせた。

「リース……人を殺して平然としてる奴って怖いか?」

「アリス、どうしたの?」

アリスは下向き加減に顔をリースの身体にくっつけた。

「何人も何人も殺す奴なんて怖いよな……?」

「アリスは自分の役目を果たしているだけだ。だから俺はアリスのこと怖くないよ」

アリスの身体が震えてる。

その振動がリースの身体に伝わってくる。

「俺だって平然な気持ちで人を殺してるわけじゃない……怖いよ」

リースはアリスの身体を強く抱きしめていた。

冷え切ったアリスの身体、どうか少しでも暖まるように。

「大丈夫だから……俺が傍に居るから怖がらないで……アリス」

アリスが人を殺した後に平然としているのは震えている自分の心に嘘をつく為。

弱い所に付け込まれない為。

そうなんだよね?

たまにアリスの心が疲れ果てると、こんな感じになる。

そんな時はリースはアリスを優しく包み込むんだ。

「リース……俺のことを嫌いにならないで……」

「ふふ、言われなくても」

リースがニッコリ笑うとアリスは安心したように目を閉じていた。

リースはアリスに布団を掛け、ゆっくり頭を撫でてやった。

「俺がアリスのこと、嫌いになれるわけないだろ?」



おやすみ、アリス。





二人を月明かりが静かに照らしていた。
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