short

□逃走中
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----- パン!

放った銃弾で一同の気を逸らすと男は車へと乗り込みアクセルを踏んだ

「沢田さん!」
「ツナ!」

走り出した車に声は届かず

「果てろ!」

銀髪の男が投げたダイナマイトを見事なハンドル捌きで難なくかわした車は
残された男達を嘲笑うかの様に走り去った。


黒髪の長身の男は舌打ちし、車の無線に手を伸ばした。



「《 怪盗 giallo (ジャッロ)》 が刑事を人質に逃走、至急手配を!」







「おい!今すぐ車を止めろ!」


隣からの声に応える事無く
男はアクセルを踏み込みスピードを上げる。


「もぉ、いい加減にしろよ!リボーン!!」


他車を左右に避けながらリボーンと呼ばれた男はニヤリと笑った。


「何でこんな事するんだよ!刑事を誘拐なんて
 お前今度こそホントに捕まるかも知れないんだぞ!?」

「バカ言え、俺はそんなに簡単に捕まりゃしねぇよ」

「だいたい、何でこんな事したんだよ」

「お前とデートしたかったからだぞ」

「はぁ!?なにその冗談」

「ジョークじゃねぇよ」

「マジ!?本気?そんな理由で俺を現場から攫ったの?」

「そうだぞ」

「そうだぞ、じゃねぇーよ!!あ〜もう信じらんない・・・
 お前、いつからそんなバカになったの?頭良かっただろ!?」

「俺をバカ呼ばわりとは、いい度胸じゃねぇか、ツナ」

「だってバカだろ!世界中で指名手配されてる怪盗なんだぞ?
 こんなくだらない事で危ない橋渡ってどーすんだよ!!」

「----- なぁ、ツナ」

「なんだよ」

「お前さっきから、問題発言しまくりなの分かってるか?」

「え?何のこと?」

「やっぱり気づいてないのか、バカツナ」

「なっ!バカって言うな!」

「お前だってバカを連呼したじゃねぇか。おあいこだぞ」

「なにそのちょっと可愛い発言!ってそんな事より
 俺が何を気づいてないって言うんだよ」

「お前、さっきから俺が捕まる事を心配してるだろ」

「えっ・・・」

「仮にもお前、刑事だぞ」

「そ、それは・・・」

「俺が恋人だからか?だから心配してんのか?
 本当に甘ちゃんだな。ダメツナ」

「ッ・・・だ、だったら何だよ!恋人の心配して何が悪いんだよ!」

ツナは瞳を潤ませリボーンの横顔を睨みつけた。

艶やかな黒髪、切れ長の黒瞳はフロントガラスの先を見つめている。
例えその瞳に映さなくとも助手席に座る男が
今どれほど情けない顔をしているかなど容易に想像ができ。

リボーンは口元に笑みを浮かべ優しい音色でその名を紡いだ。


「ツナ」


低く甘く囁く様にかけられた声にツナの心臓が高鳴る



「大丈夫だ」

「えっ」

「俺は何があってもお前の傍を離れたりしない」

捕まりもしなければ、消えたりもしない

「俺を信じろ」

「----- リボーン」

「愛してるぞ、ツナ」

「うん。俺も、あ、あいしてる//////」

滅多に聞けない「あいしてる」にリボーンは一瞬眼を見開き
思わずハンドルを切り損ねそうになるが何とか堪えた。

「リボーン?」

「ったく、お前はタチが悪い」

「えっ?なに??」

「何でもねぇ」

「?ところで、何処に行くの?」

「何処だっていいぞ。ツナは何処に行きたい?」

「ん〜・・・」

暫く考え

「俺も何処でもいいよ。リボーンと一緒ならv」



本日2度目のハンドルの切り損ないで
キキーーッとブレーキ音が響いたとか響かないとか。




刑事と怪盗の禁断の恋は色んな意味でデンジャラス。


〜 fin 〜

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