short

□これも一つの愛情表現
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これは、ボンゴレと言う名の会社内での
とある日のお昼休みのお話。




漆黒の美青年リボーンは腕を組み真剣な顔で一点を見つめていた。


「なに真剣な顔してんだコラ」


そんなリボーンに声を掛けて来たのは同僚で金髪碧眼の美青年コロネロ。

リボーンは鬱陶し気にコロネロを一瞥すると、小さく溜息を吐いた。

その様子を訝し気にみると


「何だ?ツナに浮気がバレて家出でもされたか?」


「んな訳ねぇだろ」


リボーンはニヤニヤと笑う
コロネロを睨みつけた。

そんな睨みなど全く意に介さない彼は
ふと机の上の物に気がついた。



「おっ、ツナの弁当かコラ」



そう言って弁当へと手を伸ばすと
それを止めもせずリボーンは
「はぁ・・・」と大きな溜息を吐いた。


「なんだ?」


机に肘をつき、額に手を当てるリボーンの姿を訝しげに見る。


「・・・・・それなんだが・・・」

「あぁ?」

「今朝、ツナが寝坊した」


リボーンが眉根を寄せ、弁当を指で突く。


「なのにだ、めちゃくちゃ弁当を作るのが早かった」



そう言われてコロネロはピンときた。



「もしかしたら、ご飯にふりかけってやつか?」

「やっぱり、お前もそう思うか?」

「まぁな・・・」



肯定されリボーンはガックリと肩を落とした。

本当なら朝から晩まで愛する妻の傍にいて
イチャイチャしたい彼にとって
離れている時間を埋めるアイテムは
30分おきのラブメールとこの愛妻弁当なのだ。

(ま、他にも色々あったりはするのだがキリがないので省略)

料理上手なツナは毎回彩りが綺麗で細かな細工を施した、それはそれは愛情、可愛さ、美味しさ満載の弁当を作ってくれる。

だからリボーンは毎回お弁当箱を開けるのがとても楽しみなのだ。

なのに・・・


「・・・はぁ・・・」


リボーンは本日数十回目の溜息を吐いた。

ツナの愛妻弁当をどれだけ楽しみにしているかを知っているコロネロは悪友といえど、さすがに気の毒になり

「ま、まぁ、とりあえず開けてみろ。もしかしたら世界記録並の早さで作ったかも知れないだろコラ」

「・・・・・・・」



リボーンは渋々お弁当の包みを開いた。



「!?」



それを眼にし、漆黒の男はポカーンと口を開け固まった。



お弁当箱の中には茶色のご飯がびっしりと詰まっていた。
香るのは甘い匂いが食欲をそそる
焼肉のタレ。




「ふ、ふりかけよりは、愛情を感じるぜ」




コロネロは顔を引き攣らせ、石化した男に慰めの言葉をかけた。




〜 fin 〜


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