short
□lesson
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「どうしたツナ?食べないのか?」
「う、うん・・・」
そう曖昧に応え俯く妻の姿にリボーンは眉をひそめた。
リボーンが大学生の時、家庭教師として派遣されたのがツナこと綱吉の家だった。
類いない美貌の為それは派手な女性遍歴を持つリボーンだったが
当時まだ中学生だった綱吉にひと目惚れし、この春彼が高校を卒業するのと同時に
めでたく2人は結婚した。
以来、綱吉は専業主婦となり毎日愛する旦那様のために
朝はエスプレッソの香りでお見送りし夜は美味しい手料理でお出迎えをする。
またリボーンも溺愛する妻の為に残業など一切せず
毎日彼の大好きなケーキやらプリンやらケーキやらをお土産に帰って来る。
そんな訳で今日も彼のお気に入りのケーキを買ってきたのだが・・・
「具合でも悪いのか?」
「ううん、そんな事ないよ」
「じゃあ何で食わないんだ?このケーキ好きだったろ?」
「うん、大好き」
ピキッ。何かのひび割れの音 --- ではない。
綱吉の言った「大好き」の言葉に対してリボーンの額に青筋が立ったのだ。
こと綱吉に関してのみ狭量な男は、大好きの対象が例えケーキであろうと許せない。
いっそケーキをベランダからダイブさせてやろうかとも思ったが
なけなしの理性で抑えたリボーンは、ふとある事を思いついた。
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