short

□la vie en rose
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暫く走ると森が見えてきた。

それを迂回するように走ると
窓から入る風が涼やかさをまし
もう目的の場所が近い事を告げる。

碧の水面がキラキラと光りその眩しさに
黒の双眸を細めた。

澄んだ碧の湖の向こう、漸くその家が見えると
男は嬉しそうに口元に薄く笑みを浮かべた。






「いらっしゃい、リボーンさん」

東洋人の小柄な女性は
リボーンと呼ばれた青年の顔を見ると
とても嬉しそうに笑った。

「また世話になるぞ、奈々」

青年も言いながらボルサリーノを取った。

漆黒の髪に同色の双眸。
こんな田舎でなくとも滅多にお目に掛かる事の無い美青年。

リボーンは奈々から僅かに視線を外し
彼女の後ろに置かれた小さな写真立てを眼にすると

----- 来てやったぞ

小さく呟いた。

「はい鍵。お部屋はいつもの所ね」
「Grazie」

リボーンは鍵を手にすると、部屋へと向かった。







扉を開けると、ふわりと風が吹き
白いレースのカーテンが舞った。
清潔感のある白い壁に茶のチェスト。
小さなテーブルと椅子に
丁寧にメイキングされたベッド。

リボーンは上着を脱ぎ椅子にかけると
窓から外を眺めた。

視線の先には碧の湖面。
そして僅かに視線をさげると
其処には綺麗に手入れされた小さな薔薇園があった。


今年も来てやったぞ

「ツナ」

リボーンは愛し気にその名を呟いた。

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