―銀―Soul
□肉食の兎
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今日もいつもと同じように降りたった広がる町を眺める。
場所は…江戸。
天人供に乗っとられたこんな腐った町に僕が望むようなやつはいないだろうけど、まぁ…見とく価値はあるか。
天高く昇る太陽を愛用の傘で遮りながら、跳ぶように足を進めていく。
あっ…!
「見ぃっけた♪」
思わず緩む顔に何かを察した阿武兎が苦笑いをしている。
「オイオイ…隊長?仕事は…「うん。任せた!」
言葉を遮ってお決まりの一言を浴びせると阿武兎はやれやれという顔で去っていった。
「さぁて…あれは誰かな?」
僕が目をつけたのは、黒い制服を着た栗色の髪の少年。
なかなか整った顔立ちに浮かぶ冷たい笑いは、倒れているたくさんの人間にむけられている。
血を浴びてもなお恐怖に歪まない表情を見たところ、強いやつと判断してもいいだろう。