―銀―Soul
□MEGANE
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今の気持ちを簡単に表すなら・・・
「暇」
ってのが最適だろうか。
流石に何年も続けてると仕事をサボる(土方のヤローをまく)のも上手くなってくるわけで・・・
でも哀しいかなサボったところで他にやることがない、という哀れな状況に陥っているわけで・・・
「さて、どうしたもんかねィ?」
言葉には何かしら力があるというが本当らしい。
一言つぶやいた途端に目に入ってきたのは甘味屋の看板・・・
頭にピーンとアイディアが駆け抜ける。
万屋の旦那でもからかいに行ったらおもしれェだろうねィ・・・
自分の為ならかなり行動派の俺の足はこう考えたと同時に万屋に向かって進みだしていた。
秋の切なさを含んだ冷たい身を切るような風がちょうどさっきまで俺の居た場所に吹き音を立てている。
唯我独尊とでもいうのだろうか・・・
世界の全て、風も人も全部俺のオモチャになるようにあるのではないかと考えている俺は酷く愚かな人間に思えて・・・
ふと哀しくなった。
もう俺の周りには何もないのじゃないかと・・・
立ち止まって空を見上げると目にうつせないほど光り輝いている太陽が天高く俺を見下ろしていた。
なんだ結局は世の中ってみんなそうなんじゃねいかィ・・・
優しく俺達を包み込んでいる太陽だって本当は俺達を愚かだと嘲笑っているように思えて仕方がなかった。
1回軽く目をつぶってからゆっくりとひらくと自然にニヤリと笑みがこぼれてきた。
そうしてさっきよりも速い足取りで強く地面を踏みしめてまた歩みだすと今までとはまた違う感じで風が俺を送り出してくれた気がしたのは愚かな俺の戯言なんだろうか?