夢また夢
□Kiss Me
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高遠がソファで読書をしていると、何やら視線を感じる。
前にもこんなことがあったような…と高遠は思う。
「紅朱、言いたいことがあるのでしたら、ちゃんと言葉にしなさい」
高遠はさして気にすることなく、本に集中しながら言った。
すると紅朱は、高遠から本を取り上げ彼の顔を見つめる。
穴が開きそうなほど見つめる。
そして一言。
「高遠さんの口許って、いやらしいよね」
「は?」
いきなり何を言い出すかと思えば。高遠は少し間の抜けた声をあげた。
「何かエロいわ。いや、エロチックよね。うん。性格が滲み出してるというかなんというか。とりあえず、エロくていやらしいよね」
「紅朱」
「っ…なに?」
高遠はふぅ、とため息をつくと、紅朱の顎を掬い上げた。
彼は勘づいたようだ。彼女のしたいことに。
「キスがしたいのなら、素直に言いたまえ」
そう言うと、紅朱は観念したように
「……キス、して…」
と素直に言うが、高遠は意地悪に笑う。
「キス、してください。でしょう?」
吐息を含ませた声で囁く高遠は、それはもう確信犯だ。
紅朱は顔を真っ赤にして、言った。
「……キス、して、ください」
「よろしい。良く出来ました」
高遠は紅朱の唇に、自らのそれを重ねる。
啄むような口づけから、食むような口づけ。食むような口づけから、貪る口づけに変化する。
甘美で濃厚な口づけに紅朱は酔わされた。
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