夢また夢
□湯冷めにご注意
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ある日の夜のことだった。
高遠が風呂から出てくると、突然紅朱が抱きついてきた。
「高遠さーん!」
「おっと、どうしたんですか?いきなり」
高遠は濡れた髪を、タオルで拭きながら尋ねる。
「ぎゅうってしたかっただけ」
「また唐突ですね。まぁそれがあなたらしさなのですが」
「ふへへ…湯上がりな高遠さんも、また素敵…いい匂い」
紅朱はさらに高遠を強く抱きしめた。
「まったく。あなたの馬鹿さ加減には恐れ入ります」
「そんな、褒めないでよ〜。照れちゃう」
「褒めてません」
「え?そうなの?まぁいいや。
あ、髪の毛乾かしてあげる!ソファに座って」
紅朱は高遠の腕をぐいぐいと引っ張り、ソファへと座らせた。
そしてどこからか、ドライヤーを取り出す。
「いつになく強引ですね」
「まぁまぁ、たまにはいいでしょ」
紅朱は高遠の後ろに立ち、ドライヤーにスイッチを入れ温風を髪に当てる。
「熱くない?」
「えぇ。大丈夫ですよ」
優しく丁寧に髪を乾かしていく。
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