夢また夢

□続きは、後ほど…
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夕食のあと、紅朱は食器を片付けていた。

スポンジに洗剤をつけ、くしゅくしゅと泡立たせる。

食器を洗っていると、高遠がやって来た。

「私も手伝いましょうか?」

「え?いいの?」

「ええ。二人でやったほうが早いですから」

そう言って、高遠は洗い終わった食器を布巾で拭く。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして。……おや?
腕捲りした袖が落ちてきてしまってますね。ちょっと待って下さい。私が捲ってあげますから」

高遠は紅朱の後ろに回り込む。

「え?あ、高遠さん?」

「ほら、腕を伸ばしてください」

「あ、はい……?」

戸惑う紅朱を余所に、高遠は彼女の袖を慣れた手付きで捲る。
しかし、高遠は耳元で妖しく笑った。

「手、泡だらけですね」

「っ…だ、だって洗い物してるから…」

吐息混じりの声に、紅朱はぴくりと反応してしまう。
それがさらに、高遠の加虐心に火をつける。

「そんな泡だらけの手では、どこにも触れませんねぇ」

チュッと首筋にキスをする高遠。

「ひぅ…っ!」

突然のことでびっくりした紅朱は、変な声を出してしまった。

「こうしてキスをしても、抵抗出来ない。…無防備なあなたにもう一度キスをしましょうか?」

「や、ま、待って…お水が」

「待ちません」

高遠は出しっぱなしの水を止めて、紅朱の唇に自らのそれを重ねた。


「んっ……」

「……ふ、……っん…っ…は」

甘く優しいだけでは足りないと言わんばかりに、口づけを深めてきた。

「た、高遠さん…」

紅朱のさらけ出された腕を、高遠は焦らすように撫でる。
そして泡のついた手を握って、指を絡めた。


「好きですよ。紅朱」




end-

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