夢また夢
□それはあたたかい……
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あなたは、差し出したこの手を握ってくれますか?
テーブルに突っ伏して眠る恋人を眺めながら高遠は思った。
(この私がまさか人を好きなるなんて。
だが、目の前で無防備に眠る彼女がどうしようもなく愛しい。)
自然と笑みが浮かぶ。優しい眼差しで、紅朱の髪を撫でた。
「…ん、」
「まったく、こんなところで寝ていると風邪を引きますよ」
高遠は紅朱を寝室までお姫様抱っこで運ぼうとした。
「…あ、れ?たかとおさん?」
「おや、起こしてしまいましたか」
紅朱が目をあけた、と思いきや再び目を閉じた。しかし、しっかりと高遠に抱きついて
「おかえりなさい」
と半分夢の中にいながらも舌ったらずな言葉でも、高遠を迎えた。
「ただいま。紅朱」
ちゅ、と頬に優しい口づけを落とす高遠。
あぁ、なんて愛しいのだろう
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