夢また夢

□それはあたたかい……
1ページ/1ページ


あなたは、差し出したこの手を握ってくれますか?

テーブルに突っ伏して眠る恋人を眺めながら高遠は思った。

(この私がまさか人を好きなるなんて。
だが、目の前で無防備に眠る彼女がどうしようもなく愛しい。)

自然と笑みが浮かぶ。優しい眼差しで、紅朱の髪を撫でた。

「…ん、」
「まったく、こんなところで寝ていると風邪を引きますよ」

高遠は紅朱を寝室までお姫様抱っこで運ぼうとした。

「…あ、れ?たかとおさん?」
「おや、起こしてしまいましたか」

紅朱が目をあけた、と思いきや再び目を閉じた。しかし、しっかりと高遠に抱きついて

「おかえりなさい」

と半分夢の中にいながらも舌ったらずな言葉でも、高遠を迎えた。

「ただいま。紅朱」

ちゅ、と頬に優しい口づけを落とす高遠。








あぁ、なんて愛しいのだろう





-end

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ