夢また夢
□添い寝
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部屋に着くと、高遠は紅朱をベッドに優しく寝かせる。
「今、水を持ってきますね」
そう言って高遠が、紅朱の傍を離れようとすると、スーツの袖を掴まれた。
「紅朱……?」
「…………」
紅朱は何も言わず、ただ高遠を見つめ袖を強く握りしめていた。
「分かりました。ここにいますよ」
紅朱の手をそっと握った。しかし
「いっしょに寝てくれないの…?」
と紅朱は言う。さすがの高遠もこの発言には驚いたようだ。
「あなたという人は…危機感と言うものはないのですか?」
「……だめ?」
紅朱に見つめられ、観念した高遠。深いため息をついた。
「……はぁ。分かりました。分かりましたから、そんなそそるような目をしないでください。添い寝どころじゃなくなりますから」
そう言いながらも高遠は、ベッドに入った。
「紅朱、頭を上げて」
紅朱は言われた通り、頭を上げると高遠の腕がするりと、頭の下に敷かれた。
所謂、腕枕だ。
「うで、しびれない?」
「大丈夫ですよ。あなたの頭は軽いですから」
「それ、褒めてないよね」
「ええ。まぁ冗談はここまでにして、紅朱もう寝なさい」
高遠は紅朱を抱きしめた。
「高遠さん…」
「なんですか?」
「……おやすみ」
そう言った紅朱はすぐに寝息をたて、眠ってしまった。
高遠は再びため息をつき、紅朱の寝顔を見た。
「まったく…これくらいの対価があってもいいですよね」
ぷっくりとした紅朱の唇に、高遠は自らの唇を重ねた。
そして、いつの間にか高遠も眠ってしまったのだった。
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