夢また夢

□薔薇のしあわせ
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紅朱は高遠にもたれかかり、湯船で寛いでいた。

「んー。たまにはこういうのもいいね。癒される」

浴室の中はバラの香りと仄かなアロマキャンドルの香りで満たされていた。

「喜んでいただけたのなら、何よりです」

高遠は紅朱を後ろから抱きしめた。
肌と肌が密着し、ひとつになったような気分になる。

「なんか、甘くて溶けちゃいそう…」

「一緒に溶けてしまいましょうか。あなたとひとつになり、まざり合えるのならそれもいいかもしれない」

紅朱の耳元に唇をよせて、囁く高遠。

「高遠さん?」

「ふふ、あなたの抱き心地は最高ですね」

ちゅ、と耳元にキスをしながら、お腹に手を回してきた。

「ちょ、お腹触らないでよ」

「いいじゃないですか。ここが、好きなんですよ」

お湯の中で、お腹を撫でられる。いつもと違った感覚がなんだかくすぐったい。

「やだ、もう。そんなに触らないで」

「嫌がらないでください。私、好きなんですよ?あなたを触るのが」

今度は背骨を指ですーっと撫でられ、紅朱はピクリと反応してしまう。

「ちょ、ちょっと。くすぐったいよ」

「紅朱の反応はいちいち可愛いですね。
そういうところも、好きですよ」

「み、耳はダメだって」

「耳も弱かったんですよね」

ふぅ、と耳に息を吹きかける高遠は、すごく楽しそうだった。

「高遠さん!」

「あまり怒ると、のぼせてしまいますよ?もうからかったりはしませんから」

「もう」

紅朱はぷくっと頬を膨らました。

「紅朱…」

「今度はなに…っん」

高遠に名前を呼ばれた瞬間に、キスをされた。

「っ……ふ、ぁ」

「……ん、紅朱。好きです。愛してます」

愛の言葉を囁き、額に唇をおとす。額から瞼、瞼から頬とキスをされる。

「他の誰よりもあなたを愛してます」

浴室の中に響く、低く優しい声。それが心地いい。

「紅朱、あなたは私のものです。何よりも大切な愛しい、私だけの紅朱」

湯船に浮かぶバラの花をひとつ手に取り、紅朱の髪に飾る。

「紅朱にはバラの花がよく似合う。すごく綺麗だ」

濡れた髪を指で梳かし、再び唇にキスをした。



甘いりの中で甘なキスをかわす。





(……高遠さん)
(ん?)
(のぼせちゃった、かも……)
(そろそろ上がりますか)
(高遠さん、いいにおいがする)
(紅朱もですよ。お揃いの香りですね)



end-
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