夢また夢

□ふれあい
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紅朱は高遠の返事を聞かぬまま、まずは頭を触ってみる。
撫でてみたり、髪を梳かしてみたり。

「髪の毛さらさら〜。いいなぁ」

「紅朱、気は済みましたか?」

「まだに決まってるでしょ。大人しくしてて」

紅朱は、再び高遠を触りだす。

「はぁ」

高遠はため息をつく。
しかし、紅朱は止まらない。
彼女は次に、頬を触る。両手で包み込んだり、指でなぞったりつついてみたり。

「紅朱?」

「まだだよ」

人差し指で唇を押さえた。ついでにぷにぷにと触る。

それからさらに首筋を撫でて、ワイシャツの隙間から見える鎖骨を指でそっとなぞってみる。

「……っ」

さすがの高遠もピクリと反応してしまった。
それでも紅朱は、高遠をぺたぺたと触る。

肩や腕や胸をぺたぺた。

「楽しいですか?紅朱」

「うん。なんかすごい新鮮。こんなに高遠さんを触ったのは初めて」

ぺたぺた、ぺたぺたと手を動かす。
紅朱にされるがままになる高遠。
紅朱は彼の手をとっては、自分の掌を重ねてみた。

「やっぱ、高遠さんも男の人なんだね。手が大きい」

「あなたの手が、小さいんですよ。可愛い」

今度は高遠が、紅朱の手をいじる。ふにふにと感触を確かめるように。

「ちょ、ちょっと」

「大人しくしていたので、これくらいはいいでしょう?」

血管をなぞるような触り方に、ぞくぞくとしてしまう。

「その触り方は反則でしょ」

「私はただあなたに触りたいだけです」

高遠は紅朱の手に口づけをした。




重なる、絡まる。ふれあう……







(あ、高遠さん、のど仏触っていい?いいよね!よしっ)
(……馬鹿な子ほど可愛いとは、この事ですか……)
(え?何か言った?)
(いいえ。何も。(これも惚れた弱みなのか))



end-
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