夢また夢
□旅情
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風呂から上がり部屋へと戻ると、高遠が浴衣姿になっていた。
「ただいまー。いいお湯だった。あ、高遠さんが浴衣着てる!」
「ええ。あなたとデートをするためにね」
「デート…浴衣でカラコロしてくれるの!?」
紅朱は嬉しさのあまり高遠に抱きついた。
「もちろん」
「わぁー!カラコロ出来るんだ」
紅朱はすごく喜んでいると、ぐうっと彼女のお腹が鳴った。
「あ、…」
「その前に、夕食ですね」
高遠がほほえみながら言った。
そんな話をしていると、タイミングよく仲居が「失礼します」とやってきて、手早く食事を並べた。
並べられた夕食は、上品な盛りつけで紅朱は目を輝かせながら箸を手にした。
「いただきまーす!」
「いただきます」
と、二人でゆっくりと夕食を堪能する。
それから約1時間後には、テーブルに並べられたお皿はほぼ空になった。
「ふー…お腹いっぱい」
「少し食休みをして、街を散策しますか」
「うん!浴衣でカラコロデートする!」
るんるん気分の紅朱の様子を高遠は微笑ましく見ている。
「こうやって、あなたとのんびり過ごすのも悪くないですね
少し落ち着いたところで、二人は街に出掛ける支度をする。
「紅朱、外は冷えますからこれを」
その時、高遠が紅朱に丹前を羽織らせた。
「ありがとう」
「どういたしまして。さぁ、お手をどうぞお嬢さん」
差し出された手を取り、二人は温泉街へと出かける。
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