百四小説 1

□飼い主と犬と守る者
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百目鬼は、今日も黙々と四月一日の作った弁当を食べていた。


「もぎゅもぎゅ」


奇妙な音をたてながら…。


先程から、その様子を観察していた四月一日だったが、次第に苛立ちが増していく。


なぜ、二人きりで弁当を食べなくてはいけないのか。


なぜ、作る事が習慣になっているのか。


なぜ、料理の感想を一言も口にしないのか。…まぁ、夢中で食べてるのはわかるが。




「おい、百目鬼」

「もぎゅ?」

「なんだ?じゃねぇ」


首を傾げる百目鬼にすぐさま突っ込む。


睨みつけても、こいつには通用しない。


それを苦々しく思う。


と、四月一日はふと思いついた。


おもむろに、おかずの一つを箸で掴み百目鬼の口許に運ぶ。


「?」


再び首を傾げる百目鬼に四月一日はにやりと笑うと、


「ほら、食えよ」


と言った。


とにかく食欲に勝てない百目鬼は、差し出されたそれをぱくりと食べた。


「どうだ、うまいか?」

「もぎゅ(あぁ)」


その返答に再び四月一日は意地の悪い笑みを浮かべた。



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