百四小説 1

□ある日の出来事
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俺は一体何をしてるんだ?

春になったとはいえ、まだ肌寒い。

四月一日はコートを着て、右手に重箱、左手に鞄といった格好で百目鬼の家の門の前にいる。

なんで、あいつのために弁当なんか…。

ぶつぶつと呟いていると、やっと百目鬼が姿を現した。

「待たせてんじゃねぇよ」
「重箱寄越せ」

無視かよ!と悪態をつきながらも重箱を手渡す。

…すると、

「…どっ、どど百目鬼?おま、何してんだ?」
「あ?」

百目鬼の右手はしっかりと四月一日の細い腰に回されていた。

「……密着すると、払う力が増すらしい…侑子さんが言っていた。(大嘘)」

「そ、そうだったのか!」
(基本的に騙されやすい)

右手に四月一日、左手に重箱と鞄。

多少は歩きづらいが、百目鬼にとっては些細な事でしかなかった。

そのまま歩き、校門の前まで来た。

「おい、もう着いたんだから離せ」
「……」

百目鬼はそのまま無視して歩みを進めた。


きゃぁぁあっ


女子の悲鳴が聞こえ、四月一日は頭を抱えた。

いくら俺が男でも、ファンから見たら気分のいいものではないはずだ。

百目鬼を見上げてみても相変わらずの鉄面皮で、何を考えてるのかわからない。

手を無理矢理にでもどかそうと頑張ってはみるが、びくともしない。

今だに離れようとしている四月一日を更に引き寄せて、百目鬼は耳元に口を寄せた。

吐息がかかる。

「抵抗するな。もう少し見せ付けたい」
「…っ。ど、どういう意味だよ、それ」

真っ赤になる四月一日。

ぎゃぁああぁっ

と、女子の一際高い悲鳴が聞こえる。

俺、百目鬼ファンに殺されるな、いつか…。

そんな事を考えつつ四月一日はそのまま校舎まで引きづられて行った。




***end




いわゆる腐女子、だらけの学校の設定で書いてみました。
ふたりの関係、内容ともに中途半端でごめんなさいっっ。

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