百四小説 1

□生徒×教師
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「おめでとー、先生」

「はいプレゼント」

「いや、教師がプレゼント受け取るのはちょっと…。」

「うん!そう言うと思って、残らないようにお菓子にしたの!」

困り顔の四月一日は渋々受けとると

「ありがとう」

と柔らかく微笑む。

それを見た女子が、きゃーきゃー言いつつ走り去って行く。


今日は四月一日の誕生日。


普段から話しかける生徒は多いが、今日はいつにも増して多すぎる。

近付けない事に、他の生徒に愛想を振り撒く彼奴に、段々腹が立ってくる。

俺の四月一日に…。
いや、まだ「俺の」ではないが。




放課後になってもまた女子が数名来たが、その波も引きやっと二人きりになる。

「お前まだ残ってたのか」

やはり不機嫌な顔でこちらを見た。

「今日は大変だったな。」

一瞬意味がわからなかったのか、四月一日は少し考えて

「あぁ」

と短く返した。

「俺からもプレゼントが…」
「いらん」

即答か。

しかし俺は負けずに四月一日の腕を取って、引き寄せた。

そのまま、ほんの少し屈んで四月一日に顔を寄せる。

「うわわっ。何考えてるんだ、お前は」

やはり赤くなる四月一日。

その瞳に引き寄せられるように顔を更に近付けた。

触れる唇。

「んんっ」

小さく溢れた声。

満たされる心。

唇を離す。

「なっにしやがる!!」

「抵抗しなかっただろ」

「そういう問題じゃない!」

そういう問題だと思うが。
それに…


「残らなければいいんだろう?」


「…な…」


羞恥からか怒りからか、四月一日が震えている。


「ふざけんなぁあぁっっ」


二人だけの教室にその声は思いの他響き渡った。


***end
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