百四小説 1
□左手の重みを
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俺は今とても喜んでいる。
表情には決して出さないが、スキップしてもいいくらいだ。
夜道は危ないだろうと思い、バイトの終わった四月一日を向かえに行き今ふたりで歩いている。
そして
今
四月一日の手は俺の制服の袖を掴んでいる。
アヤカシがいるのだろう。
後ろをちらちらと気にしながら、いつもより密着して。
照れているのか、顔が少し赤いようだ。
言葉は交さず
左手にある、少しの重みを感じながら。
いつもよりゆっくりと歩いた。
‐共に歩く。それがしあわせ‐
おまけ→