時を超えて

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【時を超えて】
第7話


















「こんなもんかな?」


目の前に並べられた料理を見て、一人満足するあたし

野菜が嫌いだと言う二人にあたしは克服させようと、その辺に生える野菜をふんだんに使った料理を作ってみた

肉だけじゃ栄養が偏るからね!



エースとルフィは修行だと行って森に行ってしまった


最初は二人のジャングル修行に付き合っていたが、段々体力の限界が見え、二人に死なないための戦い方を教えて、無茶はしないと約束させ二人だけで行かせることにした(年はとりたくないね!)

ジャングルには動物達しかいないみたいだし、二人で力を合わせればたいていの獣は倒せるようだから、あたしは特に心配をしていなかった



「はぁ〜もうこっちに来て1週間かぁ」



近くにあった岩に座り、オレンジ色に染まりつつある空を見上げ呟けば、どうしよもない寂しさが込み上げる


タイムスリップをしてから1週間が経ち、エースやルフィと過ごす時間は楽しくてあっという間だけど、一向に帰れる気配も情報もなくて、日に日に不安が募る


あたしが元の場所へ帰ると言って嫌な雰囲気になった日から、あたしもエースもルフィもその話には全く触れないし、あたしもあんな雰囲気になるなら二度と喋りたくないって思う



ここにいる間は二人を守らなきゃいけないし、じゃないと未来であたしに会えないかもしれないじゃん!まぁ、この次元がそのまま今あたしの生きている次元に直接繋がるかは不明だけど(未来は無限に広がるってね)




でも、本当に帰れるのかな・・・




「はぁぁぁぁ・・・エース隊長、皆・・・」



盛大にため息をつき、あたしはガクッと項垂れた






「ミユ!!!」

「ルフィ・・・?」






頭を抱えていると不意に聞こえたルフィの声

あたしはすぐに顔を上げてやっと帰ってきたのかと安堵する




「ど、どうしたのその怪我?!」

「ミユ・・・はぁ・・・エースが・・・」





しかしあたしは顔を挙げルフィを視界に納めて驚いた

顔中擦り傷だらけで、腕からはダラダラと血が流れている


あたしは慌ててルフィに近寄ると、ルフィは荒い息で何かを伝えようと必死に言葉を紡ぐ


「落ち着いて!エースがどうしたの?!」

「うっ・・・ぐすっ・・・エースが・・俺の変わりに・・・」



涙を流し、しかし必死にあたしに今までの出来事を話すルフィに、あたしは段々眉間に皺が寄っていくのが分かった






「はぁっ・・・エース」





そしてあたしは話し終えたルフィに応急処置をし、テントから出ないように約束すると力の限り地面を蹴った










"修行してたら急に男達が現れて、俺たちが狩った獣を持って行こうとしたんだ・・・だから、だから俺むかついて殴ったらいきなり切られて・・・そしたらエースが男達に飛び掛ってったんだ・・・"



"エースが俺が引き止めとくからミユのとこに逃げろって・・・"













泣きじゃくるルフィの言葉を頭で思い返しながら、あたしは走る足に力を込めた

知能の低い獣だけならと安心してたのに、人間相手にしかも話によれば複数の人間を相手になんて、いくらエースでも無謀すぎる




「お願い、無事でいて」











そう願い道なき道を走り続けた



























ガサッ












そしてどれだけ走っただろう

鬱蒼と生い茂っていた木々が開けたかと思うと、そこに現れた光景にあたしは目を見張った


血だらけのエースが、それでも真っ直ぐと数人の男を見据え武器を構えていた




「エース!」

「・・・っ、ミユ!」




すぐに大声でその名を呼べば、エースは驚いたようにこちらを向いた


殴られたのか片目は腫れている


あたしはすぐにエースに駆け寄り、しゃがんでエースの肩を掴んだ

「エース・・・こんなに怪我して」

「こんぐらい、平気だ・・・それよりルフィは?」

「ルフィは大丈夫。手当てしてテントに置いてきた」

「そっか・・・良かった」

「エース・・・」

ルフィの安否を確認するとエースはへへッと力なく笑って安堵した

あたしはそれを見て苦笑し、エースの顔についた血を手で拭った


ビリッ



「エース、あとはあたしに任せて」

「!!?」


あたしは服の腕の部分を引きちぎり、切られたであろうエースの腕に巻き止血した

そしてニコッと一つ笑みを浮かべると、エースは目を丸めた






「なんだぁ?こんなジャングルに女がいたのか」


「・・・あんた達、一体誰?」







背後から聞こえる声に、あたしはその表情から笑みを消し、ゆっくり立ち上がり男達を見据えて呟けば、男達はニヤニヤと笑いながらあたしをジロジロと見てくる



「俺たちゃ、少し前にこの島に来た海賊さぁ。ところで女、そいつはお前の餓鬼かぁ?」

「違う、けど大切な仲間だよ」


「仲間・・・ぎゃっはっは!面白いこというなぁ。で、その仲間とやらの代わりに俺たちと遣り合おうって気か?」

「・・・だったら?」

「やめとけやめとけ!あんたみたいな可愛いお嬢ちゃんじゃ、俺たちに叶うわけねぇよ!」

「やってみなきゃ分からないよ」

「分かるんだよ!まぁ、違う方で相手してくれってんなら、大歓迎だがな」

「「「ぎゃっはっはっはっは!」」」


「・・・」




卑しく笑う男達にあたしは、こんな奴らに大切なルフィやエースを傷つけられたことに怒りが込み上げてきた

そして一瞬でのしてやろうと覇気を纏おうとしたときだった





「てめぇらの相手はこの俺だ!」

「エース?!」

「あぁ?!」





突然、目の前に現れたエースにあたしも男達も目を丸めた


怪我だらけの体で乱れた息をしながら、それでもしっかりと男達を見据えて立つエース

「エース、あとはあたしがやるから・・・」





「俺は、一度向き合ったら逃げねぇ!」






そう叫ぶエースに、あたしは下がらせようと伸ばした手をピタリと止めた


「エース・・・隊長?」


その背に薄っすらと見えたエース隊長の影に、あたしは目を大きく見開いた


「なに餓鬼が一丁前にいきり立ってやがる?ははぁん!もしやこの姉ちゃんがさっき言ってた…だがな、てめぇは今まで俺たちに手も足も出なかったじゃねぇか」

「うるせぇ!ミユは俺が守る!」

「・・・っ!」




ゲラゲラ笑う男達の声にハッと我に返れば、エースはさらに声をあげる

その表情は伺えないものの、ぜーぜーと肩で息をする様子は立っているのも辛そうだった



「はっ、言ってろよ」

「!!?」

「エース!」



そして、次の瞬間、男がカチャリとピストルをエースに向けニヤリと笑った


あたしはそれに気づくと同時に、エースの腕を思いっきり引いた


















パァン






















鳴り響く銃声に、同時に背中に激痛が走った













「ミユ!!!」











抱きしめていたエースの声が大きく耳に響いた





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