時を超えて

□09
1ページ/2ページ

【時を超えて】
第9話
























エースの叫び声を最後に、あたしは沈み行く意識の中、エース隊長と出会ったときのことを思い出していた







『お前、名前は?』

『え?ミユ・・・ですけど?』


あたしとエース隊長が出会ったのは、白ひげ海賊団に入るちょっと前

エース隊長はまだスペード海賊団の船長さんをやっていて、あたしは特に目的もなくグランドラインを旅していた


『俺のこと、知ってるか?』

『ん?いや、知らないです』


自分のことを指差して緊張した面持ちで問いかけてくるエース隊長に、あたしは新手のナンパか?と思いつつも訝しげな表情でエース隊長を見ていた(後にすごいルーキーって知って驚愕するんだけど)


『・・・そっか』

『えっと・・・あなたは?』


何だかすごく不機嫌そうな悲しそうな顔をするから、申し訳なくなってあたしが逆に問い返せば、エース隊長は「あぁ、これは失礼」と呟くと、オレンジ色のテンガロンハットに片手を沿え軽くお辞儀した


『俺の名はポートガス・D・エース。海賊だ』

『エース・・・さん?』


何だか懐かしい響きの名前にキョトンとしていると、よろしくな、と言って差し出された手とその笑顔に胸が高鳴った



あたしは何となく、海賊だけど悪い人だとは思えなくて、その手をとって笑みを返した


『よろしくです』


そしたらエース隊長はちょっと頬を染めていた



そしてあたしはエース隊長に気に入られ、スペード海賊団に入り、そしてエース隊長の野望の下、いつの間にやら白ひげ海賊団の仲間入りをしていた



新しい仲間が出来て、新しい環境でエース隊長は船長から二番隊の隊長になって、真っ先に「二番隊に移動だ」って言われたのを覚えてる(元々1番隊だったから)


あたしは嬉しくて即答して、そしたらエース隊長はまたあの太陽みたいな笑みを浮かべてくれた



『俺が、守ってやるからな!』

『いーえ!あたしが隊長を守ります!』



そんな会話をしながら、あたしは芽生え始めていたエース隊長への気持ちを抑えつつ、彼の隣にいられることに日々喜びを感じていた















最後にもう一度エース隊長に会いたかったなぁ



















脳裏に浮かぶエース隊長の笑顔に、あたしはまた涙を零した





だけど、後悔はしてないよ
エースやルフィを守れたんだもん


悲しませちゃったことはすごく申し訳なかったけど…だけど、二人の未来を守れたと思えば勝手だけど納得する







うん、悔いは、ないよ







そう一人納得して、あたしは暗闇に吸い込まれるように意識を失った
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ